2014年9月10日
9日欧米市場でのドル円相場は、NYオープニングでは106円10銭を割り込んだが、その後、106円40銭台まで再び円安が進行。ところが、日本時間午前3時頃から5時頃までの2時間に、106円前後まで円が急反騰を演じた。典型的な「行って来い」の相場。投機筋が106円台で空中戦の様相だ。
短期的には、9日が円売りクライマックスとなった可能性がある。昨日本欄にも書いたが、106円50銭を超えれば、当面、利益確定の円買戻しが増える地合いである。
この相場観は、筆者のスイス銀行外国為替貴金属部の後輩たちからチャットで得た情報による。同銀行チューリッヒは筆者勤務当時「ディーラー養成工場」とも呼ばれ、後輩たちがリクルートされ世界各地に散り、いわゆる「国際通貨投機筋」として相場に参加している。横のつながりは強く、欧米市場最前線の相場観もチャットでリアルタイムに入ってくる。
なお、その情報源たちから、9日になって、急にスコットランド独立問題を潜在的円高要因とのコメントが複数あったことが気になっている。
この問題は、決して新たな要因ではないが、今週に入り、同国内の世論調査で独立賛成派が急速に増えたことで、俄かに「テール・リスク」として意識され始めた。スコットランド独立の可能性は低いものの、万が一、本当に賛成派が過半数となれば、同国情勢が一転新たな「地政学要因」となるリスクをはらむ。更に、スペインのカタルーニャ地方独立運動など欧州各地へ飛び火するかもしれない。想定外の地政学的リスクにより、一時的にリスクオフとなり「逃避通貨」として円が買われるシナリオを円売り投機筋は恐れているのだ。ポンドは大幅に売り込まれ、ドルや円が買われる状況がかんがえられる。
更に、同問題を口実に使って円売りポジションを買い戻す気配も感じられる。
そこで、円売りポジションをオプションでヘッジする動きも見られる。起こる確率は低いが、起これば大きなイベントになるリスクに対する典型的な備えだ。
ドルインデックスが2011年からのドル高局面では、いずれも84台で頭を打ってきたことの指摘もあった。9日は84.40を突破後、急落している。
実際に現場で大きな円売りポジションを張っている人間の心理は複雑だ。円高に振れるシナリオを聞けば、顔にはださないが、心は揺れるもの。
ベビー・ステップ=赤ちゃんのよちよち歩きと言う単語も複数回聞かれた。
「イエレンFRB議長が、よちよち歩きなので、安心して円売りポジションをキャリーできない」という文脈で使われている。
「中央銀行には逆らうな」が、民間ディーラーの合言葉になるほど、金融政策主導の相場展開ゆえの「ぼやき」であろう。
筆者はイエレン氏に同情を禁じ得ない。未曽有の量的緩和を終了させ、さらに未曽有の出口戦略という壮大な実験を実行する役回りに当たっているからだ。ドルを大盤振る舞いするより、回収するほうが、遥かに難しい。
さて、スコットランドの独立を問う選挙は9月18日。
そしてFOMCは9月16-17日。
今回の短期的円売りモメンタムの賞味期限はあと10日ほどである。
なお、長期の視点では、やはり円安派が圧倒的に多い。
金も乱高下。
一時1246ドルまで売り込まれたが、上記のドル急反落(円反騰)に反応して1256ドルまで急上昇した。
1250ドルの攻防。
攻防ラインが随分と下がってきた。
ドル建て金価格が上がっても、円高で相殺され、やはり円建てに動きは少ない、というか安定しているというべきか。
さて、昨晩はお月見。月が地球に最接近するスーパームーン。
我が家でも、月見団子(ヤマザキ製 笑)をコンビニで買って、猫と一緒に俄かお月見。猫は迷惑そう。私は月より団子~
そして、昨日は錦織選手が負けて残念。
日経電子版の見出しも、テニスより円安が上に来た。もし勝ってたら、号外扱いだったかもね。なお、電子版のほうは、ロックがかかっているし、金やプライベートの記述はない。