今日は初心者向け原稿です。
経済アナリストの間では、消費税後に落ち込んだ個人消費が回復する目途として、紳士服の売れ行きがウォッチされています。
それは、紳士服が、家計消費の中では、最も後回しにされるからです。一家の大黒柱で稼ぎ手のお父さんの着るものが一番最後というのは、なんとも切ないですね~
なお、専門的に言うと紳士服売り上げは「景気の遅行指標」といわれます。
その紳士服の売り上げが、ここにきて伸びてきました。
具体的には、白のパンツなどの販売が好調です。
景気が良くなる兆しが見えてくると、明るい白色系の衣類が好まれるのですね。
客観的に経済指標を見ても、景気好転の裏付けとなる数字が出始めています。
まず、5月に全国のハローワークで受け付けた新規求人数が4.0%増えました。製造業12.2%↑教育関連11%↑サービス業8.4%↑などが好調な業種です。
ここで、経済アナリストは、ハローワークで職を探す人一人に対して、企業から何件の求人があるか、という点に注目します。これを専門用語で「有効求人倍率」といいます。この数字が高いほど仕事を見つけやすいわけですね。
この有効求人倍率が、5月は1.09倍と、1992年6月以来の高い水準に上昇しました。
但し、人手不足は、パートタイマーなど非正規社員が中心で、正社員の有効求人倍率となると、0.67倍。これでも2004年11月以来の最高水準なのですが、まだまだ低水準ですね。
次に、5月の消費者物価も3.4%上昇して、これまた32年ぶりの伸びを示しました。ここでは、当然、消費増税の物価押し上げ効果が効いているのですが、その増税の影響を除いても1.4%↑となっています。
品目別に見ると、ルームエアコン19.4%↑、ノートパソコン15.5%↑、洗濯機21.7%など、耐久消費財の値上がりが目立ちます。
注目のガソリンは10.1%↑、電気料金は11.4%↑、都市ガス8.9%、それぞれ上がっています。
消費増税後、手控えられていた消費が回復する兆しも見えますが、円安・原発停止によるエネルギー価格上昇も予想通りといえます。ここは、良い物価上昇と悪い物価上昇と、はっきり分かれてきています。
いっぽう、良くない経済統計も出ています。
5月の家計調査(総務省)では、1世帯あたりの消費支出は27万1411円と、前年同月比で8.0%減っています。これは東日本在震災があった2011年3月の8.2%減以来の落ち込みとなりました。減少幅が前月(4月)の4.6%減から拡大していることも気になります。財布の紐が明らかに締まってきていますね。
ただ、内訳をみると、自動車29.7%↓、住居の設備修繕・維持44.4%↓など高額消費の落ち込みが目立つので、これは3月までの駆け込み消費の反動と見てよいでしょう。
なんとなくモヤモヤした経済の状況で、価格はジリジリ上がっている。金の価格も上がってきています。米国でも徐々に物価が上昇しているからです。
金価格は、このように経済の実態を映す鏡みたいなものなのですよ。