2014年10月21日
昨晩は、ニューヨークからのメールや電話が多かった。
先月、現地でヘッジファンドの円卓対談に招かれ、アベノミクスについて「独立系」の立場から講演したときの、参加者たちである。
「ミズ・オブチは何をしたのか?ネギを贈答品で送る習慣が日本にはあるのか?ネット上で開示されている政治資金関連情報が、今になって、なぜ問題視されるのか?」などなど、彼らの疑問はつきない。先月会ったときの口調から、明らかにオクターブが下がっている。
これまで、彼らのベース・シナリオは、安倍政権は日本で久しぶりの安定政権、ということであった。支持率低下といっても、世界的にみれば、悪くない数字だ。
オバマ大統領が、自ら、「先日、レストランでクレジット・カード支払いを拒否されたよ」と語ったことがニュースになるほど、「落ち目」のイメージが強まっている。(しばらくカード決済していなかったので、自動的にははねられたらしい。先日、バーナンキ前FRB議長が、住宅ローン借り換えを拒否されたことと同様に、コンピューターの機械的処理の結果であろう。)
安倍首相への支持が低下といっても、グローバル・スタンダードでは、さほど重視されていなかった。
しかし、今回ばかりは安倍政権のプリンセスのスキャンダル、と受け止められ、かなり重要視されている。
本欄では、海外投資家の次の運用先メニューに日本株が選択肢として上位にあることを強調してきた。独立系の立場で彼らと本音で語ってきたうえでの、強い感触であった。
それが、昨晩はかなり後退してしまった。
消費増税と原発再稼働に関して、混迷が深まるとの読みで、日本株は当面、模様眺めのスタンスを強める。
消費増税についてはルーズ・ルーズ(lose lose)、つまり、どっちに転んでも良くない、とのコメントが印象的だった。増税すれば景気下押し不安、しなければ財政規律が問われ、先進国最悪の財政赤字比率が日本売りを引き起す可能性がある。
しばらくは、筆者もニューヨーク時間に、メールや電話で起こされる生活からは解放されそうである。