豊島逸夫の手帖

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IMFショックで円107円台

2014年10月8日

7日発表のIMF14年世界経済見通しで、日本経済成長率は1.6%から0.9%へ0.7ポイント下方修正された。ドイツも1.9%から1.4%へ0.5ポイント引き下げられている。いっぽう、米国は1.7%から2.2%へ0.5ポイントの上方修正だ。中国経済は7.4%に据え置かれたが、市場ではチャイナ・リスクは依然強く意識されている。
かくして米国経済のひとり勝ちが追認されたことでドル高加速かと思えば、7日の欧米市場でドル・インデックスは一時の86台突破から85.7台まで下がっている。世界的には最も取引量の多いユーロ・ドルのレートは1.26水準をはさみ、若干ながらユーロ高・ドル安に転じている。円も108円前後の水準まで円高が進行中だ。
なぜか。

まず、ホットマネーは、これまで蓄積したユーロ売り・円売りポジションをかかえ、買戻しのタイミングを虎視眈眈と狙っていた。そこに発表されたIMF経済見通し。これまでユーロ売りを誘発してきた「欧州デフレ懸念」が活字となり追認されたところで、市場の要因としては「誰もが知るところ」となり、陳腐化した。こうなると、「噂で売って、ニュースで買い戻す」という常套手段の出番だ。
更に、IMFの世界経済成長3.3%に減速予測は、グローバルな成長懸念を高め、マネーのドルと円への逃避現象も誘発した。これが、投機筋の円売りポジションを買い戻すキッカケも与えた。

これと対照的に、年金基金などのリアルマネーは、IMF予測をドル買いのお墨付きとして受け止めている。
投機筋はチャートや先物市場の取組高で動くが、リアルマネーが動くには、このお墨付きが必要なのだ。
投機筋の動きは速いが、リアルマネーの動きは遅い。しかもFX取引のようなレバレッジはかけないから、当座の市場への影響は薄い。しかし、通年でみれば、ジワリ、ボディーブローの如く効いてくる。

2015年に向けての、ドル買いトレンドは変わらない。リアルマネーのドル買いにより、より根強いトレンドとなろう。

世界経済減速を正直に映す商品価格は下落が顕著だ。原油は、ブレントまでが90ドル大台の攻防となり、WTIとの値差も極端に縮小している。金はドル安で買われた。プラチナの急反騰もすごい。
また下がったら、更に買い増します!

株価も不安定。米雇用統計大幅改善には素直に「グッド・ニュース」として反応したが、世界景気減速・ドル高の米国市場への影響を計りかねている。
マクロ経済のシナリオは見通せるのだが、日々の価格変動は、市場内のポジションで上に下に振れる状況が続きそうだ。

2014年