豊島逸夫の手帖

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お盆に金価格乱高下

2014年8月18日

お盆に入る前のブログ(8月12日付け)に

「日本のお盆期間中にもロシア軍ウクライナ侵攻の切迫感が強まっている。」

との書き出しで、ウクライナ情勢の切迫感を伝えましたが、15日に、ロシア軍がウクライナ国境越境、との報道が流れました。英紙ガーディアンとテレグラフの各紙記者が、現地で目撃したと新聞に書いたのです。ウクライナ政府も、国境内で、ロシア軍と戦闘・破壊したと発表。欧州側も重大な懸念を表明しました。

その前に、280台の白いトラック隊が、ウクライナ国内のロシア系住民を「人道的救済」する物資を輸送するとの目的で、モスクワを出発して、ウクライナ国境に向かっていたのですが、これとは全く別部隊の行動のようです。

但し、ロシア側は、その報道を否定しています。

とはいえ「火のないところに煙はたたぬ」といいますが、市場は疑心暗鬼。

15日のNY株式市場では、ダウ平均が一時前日比マイナス100ドル以上の急落。

金価格も乱高下。一時、手じまい売りで1290ドル台まで20ドル以上急落していたのが、この材料で、再び1310ドル近くまで反騰。しかし、買いは続かず、また1300ドルを割り込んでいます。

典型的夏季休暇期間中の薄商いの中で、値だけ飛ばす展開なので、まともに見る気にはなれません。(立場上、お盆期間中も相場フォローは続けていましたが。)

ただ、ウクライナ情勢は、お盆前にも書いたように、ドネツク、そしてルハンスクという東部ウクライナ地域の攻防戦となっています。イラク情勢も、北イラクの主要都市モスル近くの、イラク国内最大のダムの攻防になっています。(ここが破壊されるとバグダッドまで停電になります。)米軍が空爆で援護する間に、クルド人部隊やイラク政府部隊が過激派組織「イスラム国」に反撃するという展開です。形勢は、一時「イスラム国」に占拠された地域の一部を奪還するという状況ですが、この過激派組織は「アルカイダ」を上回る規模とされ、シリアからの武器補給などを受けています。米軍が地上部隊も派遣しないと、このようなゲリラ組織の撃退は難しいでしょう。しかし、米国側からすれば、あれだけイラク戦争で大騒ぎした後に撤退したわけですから、おいそれと、再び陸軍投入などできませんよね。それに、米国内ではミズーリ州での黒人男性殺人事件で、人種問題が大きな問題化して、オバマ大統領も対応のため夏休みを切り上げるほどです。しかし、米国の介入なくして、イラク国内のスンニ派、シーア派、クルド人の三大勢力がまとまることはないでしょう。一応、現政権のマリキ首相は退陣しましたが。

というわけで、今週は(も)、米国金融政策(FOMC議事録とジャクソンホール世界中銀会議)と地政学的要因の綱引きが続きそうです。

今日の写真は、昨晩、行きつけイタリアン「マガーリ」(洗足池)で食べた、カッポンマーグロという魚介類のサラダ仕立てみたいな一品と生ハムと朝採れトマトのカルパッチョ。(ちなみに写真に写っているポットはハーブティー。酒飲まないのでね。)家庭的な雰囲気の店なので、まったりしたひと時を過ごしました。昼食はソーメン、朝食は納豆でしたけどね(笑)。

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2014年