豊島逸夫の手帖

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金生産 中国独走 南ア凋落

2014年5月13日

国別の金生産量の推移を比較すると、かつてはダントツの金生産大国といわれた南アの落ち込みと、代わって中国の躍進が鮮明だ。

(トン表示)

1997年2013年
1.南ア 493 1.中国 438
2.米国 359 2.オーストラリア 266
3.オーストラリア 313 3.ロシア 248
4.カナダ 168 4.米国 228
5.中国 153 5.ペルー 181
6.ロシア 138 6.南ア 174
7.インドネシア 102 7.カナダ 133
8.ウズベキスタン 83 8.ガーナ 107
9.ペルー 75 9.メキシコ 103
10.ブラジル 59 10.インドネシア 99
1997年2013年
世界計(トン) 2480 3022
年間平均金価格(ドル) 331 1411
金総生産コスト(ドル) 315 1205

このように、金生産世界一の座が同じ400トン水準ながら、南アから中国に入れ替わっている。


同じ期間に金価格は4.26倍に上昇しているのに、年間世界総金生産量は1.21倍しか増えていないことも印象的だ。金生産コストも3.8倍に急上昇している。


ちなみに南アの金生産量推移を歴史的に見るとこうなる。

金生産量(トン)
1970 1,000
1980 675
1990 605
2000 454
2010 202
2013 174

まさに、坂を転がり落ちるように、減少を続けている。
要は掘りつくしつつあるのだね。
でも、南アの金鉱山会社は依然抜群の鉱山技術を持っているので、南米・アジア・アフリカの新興金生産国に資本と技術を持って進出している。


なお、リサイクルなどの二次的供給源が1997年には629トンだったのが、2013年には1280トンと2倍になっている。金価格が上がれば、還 流してくる金地上在庫も多くなるということだね。今後、金生産量(一次的供給源)はそれほど増えないから、二次的供給源が益々変動要因として重要になる。

2014年