豊島逸夫の手帖

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激変する日本金市場の景色

2014年4月24日


さて、4月22日の日経電子版に「総合取引所の販売でルール、金融庁、商品デリバティブ制限」という記事が載った。なぜか紙の新聞には載らなかったようだが。


原油や穀物など商品を裏付けにした金融派生商品(デリバティブ)に対して、経産省ではなく金融庁が販売員の勧誘ルールを固めたということは、いよいよ、日本の商品(コモディティー)先物市場が欧米並みに金融機関の取り扱い商品になる流れが明確になってきた。
既に日本取引所では大証がデリバティブに特化した取引所になる方針を打ち出している。大証は金融庁の管轄下にあるから、商品デリバティブも金融庁の管轄下に入るということになる。日本の商品先物市場の景色も激変するだろう。
記事では、金融庁が、取引のない新規客にいきなり電話や訪問して勧誘したり、既存客で取引したくないと意志表示した投資家に再勧誘したりすることを禁止することを盛り込んだ、金融商品取引法の政省令案を5月にもまとめ、今夏の施行を目指す、としている。
株式も商品もワンストップで同じところで売買できる「総合取引所」構想も現実の問題となってきた。


金については、現物の金地金そのものの売買は金融機関も扱う気もないし、ノウハウもないから出来ない。しかし、金の金融商品は銀行証券の定番商品として位置づけられることになろう。
金地金や地金型金貨・純金積立は現業の貴金属会社、金現物を裏付けにした金ETFは銀行証券という棲み分けになるだろう。
欧米でも、その発展段階を経て現在に至っている。たとえばゴールドマン・サックスの現CEOブランクファイン氏は、同社に吸収合併された貴金属会社のセールスマンだったのだ。
米国の例を見ても、金市場にとっては、パイが大きくなるキッカケになると思う。

2014年