豊島逸夫の手帖

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4位では、金でなくてはだめなのでしょうか?

2014年2月14日


オリンピックになると、私は忙しくなります。
一般の新聞でも、「金」「金」「金」と、ときにはカラーで金色の活字が一面に踊るからでしょうか。はっきりいって、スポーツ評論家でもない私はあまりカンケ―ないと思うのですが、なぜか「金」についての取材が増えるのです。
それにしても、オリンピックのたびに想うことですが、「金メダル」にこだわりすぎではないでしょうか。
「2位ではだめなのでしょうか」と発言して話題になった女性議員がいましたが、オリンピックでは特に「4位ではだめなのですか?」
と問いたいと思います。


女子モーグルの上村愛子選手の決勝での滑りは、ほぼ完ぺきな出来でした。私は個人的にスキーが好きです。「第二の故郷」福島の猪苗代には「モーグル の聖地」といわれるスキー場があります。そこで、上村選手が練習しているのを見たこともあります。プロ級のモーグルゲレンデのコブの大きさ・高さはハンパ ではありません。うっかり、アマチュアが挑戦したら、たちまち転んで骨折しかねないほどの難度です。ソチは、更にそれを上回る難しい設定でしたから、そこ で、最後の本番にあれだけのパーフェクトな滑りが出来たことは、本当に素晴らしいことです。
しかし、結果は4位でした。
採点法に疑念を呈する専門家もいます。
でも、さすがに経験を積んできたアラサ―の上村選手は、やや潤んだ目で、「すがすがしい気分」と語りました。報道陣のほうが、なんと言葉をかけてよいものか、戸惑っていたようにも感じました。
とにかく、最後の舞台で、自分でも納得のゆく最高の滑りが出来たのだから、「すがすがしい気分」「達成感マックス」だと思いますよ。メダルを取れなかったことは残念でしょうが、私は、彼女の潔い立ち振る舞いを見て、すっかりファンになりました。
そして「4位ではだめなのでしょうか」と報道陣に逆に問いたいです。メダルにこだわり過ぎなのでは?と。
メダルが金、銀、銅なのであれば、私は上村選手にプラチナ・メダルをあげたい!あれだけ、何回も日本代表としてオリンピックに挑戦してきたのですから。そ して、そのたびに「今回もメダルに届かず」などと報道されてきたのですから。彼女の4位は、金より価値のあるプラチナのメダルの重みがありますよ!


そして、同じ4位に終わった女子ジャンプの高梨選手。彼女はまだ17歳。高校生の女子に、オリンピック始まる前から、国をあげて「金メダル候補の筆頭」とはやしてきたわけです。そのプレッシャーは、想像を超える重みだったと思いますよ。
でも、上村選手より一回り以上若い高梨選手には次のオリンピックがあります。この悔しさをバネに再度挑戦するチャンスがあります。
こういっては酷かもしれませんが、高梨選手には、あえてプラチナ・メダルをあげずに、更なる頑張りを期待したいと思います。それだけの実力を持っていて、 なんといっても、まだ17歳なのですから。第一ラウンドで目標に届かずとも、まだ、第二、第三ラウンドがありますよ。男子ジャンプの葛西選手なんて、40 歳超えた「おじさんたちのアイドル」ではないですか。


私事で恐縮ですが、スイス銀行の外為貴金属ディーラーを38歳で「引退」して辞めたとき、銀行からの「プレゼント」としてもらったのが、1オンス(約31グラム)のプラチナコインでした。
スイス人の上司が「君は貴金属ディーラーとして特にプラチナで抜群の成績を残してくれたからね」という言葉を添えて、送別会で手渡してくれました。
そのプラチナ・コインを、私は、なにがあっても絶対に売らないと思います(笑)。ディーラーとしての誇りですから。1オンスのプラチナの価格を超えた価値が私にはあるのですよ。
その送別会で貰うものが、もし、単なる「金一封」だったら、私も、それほど感動しなかったでしょう。やはり、人間はプラチナや金に特別の価値を見出すものなのですね。


上村選手にモーグルを滑走する絵を刻んだプラチナ・コインでも作って贈呈式でもやってあげたいな~~


でも、そもそも、オリンピックにプラチナ・メダルがないのは、歴史の長さの違いでしょうね。プラチナは単なる一金属として廃棄されたこともありましたが、金は古代エジプトの時代から価値が認められてきましたから。


さて、話は変わりますが、東京の外国為替市場には東京外国為替市場委員会という機関があります。各金融機関の外国為替の代表で構成し、さまざまな規 制や行動規範を話し合う組織です。そこと、日本フォレックスクラブとの共同開催のセミナーで講演することになり、昨晩はその委員の方と打ち合わせをしまし た。何年も前から私のブログを読んでいてくれて、部下たちにも読ませていると、書くほうには嬉しい言葉。個人投資家だけではなく、プロの人たちにも読まれ ていることを実感しました。


ところで、金価格は1300ドルを超えました。
金が1305ドル、プラチナは1420ドル前後。
金プラチナの値差は85ドル程度まで縮小してきましたね。
つい先日、値差200ドル突破と書きましたが。
金に割高感、プラチナに割安感を感じます。
金上昇の理由は
―イエレンFRBの緩和縮小なれど、実質的に緩和状態が続き、利上げはまだ先のこと、という認識が広まったためです。そうなると、ドル高も一服するし、円は買われがちになりますよね。
新興国不安で安全性を求めるマネーが米国債・金へ逃避した現象は一段落しています。米10年債利回りは2.5%台まだ急落したのち、2.7%台まで回復していますから。
1300ドル台では中国・インドの実需も薄くなります。

2014年