豊島逸夫の手帖

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消費増税のジレンマを察した円安

2014年11月20日

円安が118円の水準まで進行している。
117円台半ばから円売りに弾みがついたキッカケが、19日の黒田日銀総裁会見だった。記者団からの質問は、増税延期と財政規律の関係に集中。それに対する黒田総裁の口は重かった。10月31日にサプライズ緩和を発表したときの「してやったり」ともとれる歯切れの良さは見られなかった。
市場は、その極めて慎重な物言いの黒田総裁の表情を見て、察したように、円を売り始めた。

そもそも日銀はジレンマをかかえていた。
かりに消費再増税の方針が変わらなければ、景気下支えのために、金融政策への依存度が益々高まったであろう。更なる追加緩和への圧力も高まるなかで、これ以上の質的量的緩和は資産バブル懸念を産んだかもしれない。
いっぽう、消費増税延期は、金利上昇リスクをはらむ。債券市場で財政規律の緩みが懸念され、日本国債が売られるシナリオだ。
巨額の国債購入でイールドカーブを押し下げて、金利水準を下落させても、市場には金利上昇圧力がかかる。そうなると日銀の現場には混乱が予想される。既に、一部格付け会社が日本国債見直しに動き始めている。
このように、消費再増税してもしなくても、日銀は苦しい立場に立つ。元財政官僚ではなく現日銀総裁として黒田氏も、「財政規律は政府次第」との答えを繰り返さざるを得なかったのだろう。

この日銀がかかえるジレンマは、投機筋にとって、円売りで市場を揺さぶる恰好の材料となった。
これまでの「追加緩和」による日米金利差拡大を囃す円売りから、財政規律を懸念する円売りに変質したともいえよう。
その後、NY市場で10月FOMC議事録要旨が公開され、利上げの道筋などの議論が確認されたことで、今度はドル買いが加速した。
その結果、円安が再進行したわけだ。
118円台をつけた円安の根は深い。
投機マネーの思惑に加え、日米金融政策の方向性相違という構造的要因が未だつきまとう。

さて、今後の展開だが、そろそろクリスマスが視野にはいり、積み上がった円売りポジションが一旦手仕舞われがちな時期にはいる。
円買い材料が出ると、後講釈として使われやすい地合いとなろう。
120円まで一気に円安が進行するのではなく、その前に、「クリスマス休戦」の可能性を考慮すべきと感じる。

そして、ドル高→金安により1180ドル台まで下落。
プラチナも連れ安で、金とプラチナが同価格水準となった。
ここは、プラチナに買いの値頃感がある。
それにしても、円建て金価格は円安の影響が色濃い。

さて、今日は、夕方から第二の故郷福島県の郡山まで出向いてボジョレヌボパーティー。トンボ返りの日帰りで慌ただしいけれど、御贔屓の「晴美」ちゃんこと紅(くれない)晴美の演歌ショーが楽しみ(笑)。

食べるほうは、相場大荒れでアドレナリン出続け、相変わらずの肉食モード。写真は黒トリュフたっぷりのステーキ。私はマツタケよりトリュフとかポルチーニの香りが好きだな。どっちも高いけどね。マーケット波乱のときは、充分に遊べないから、おいしいものを食べるのを許して神様~(笑)。

2004a.jpgでも、これだけ食べてもふとれない。そういうと、皆に、うらやましい、と言われるのだけど、太りたくても太れず、人間ドックで「やせ過ぎ」と診断される身には、太れる人がうらやましい。特に、スキーやゴルフには体重も必要だから。でも、母からのDNAで、1キロ増やすのも、極めて難しい体質なのだ。体重は高校時代から同水準での低いレンジのボックス圏(笑)。

2014年