2014年7月17日
昨日は超固いFRBの話題だったので、今日はソフトな話題から。
今日の見出しは、私の事務所Toshima & Associates副代表、治部(じぶ)れんげが、東洋経済オンラインに寄稿して、50万以上もアクセスがあった記事です。
http://toyokeizai.net/articles/-/41534
ちょっと興味津々でしょう。
私も興味津々でした(笑)。
「社会はNHKスペシャルで、英語は名作映画で、歴史は漫画で学ぶ」という教育を受け、3兄弟が高校にも行かず全員京大合格という一家の長男が自ら、その教育方針実践のため塾を開き、大人気という話です。
宝槻泰伸(ほうつきやすのぶ)さんという33歳の塾長。
塾の名前は探究学舎。
広告はせず、三鷹から始まり、東京に2か所、関西に1か所に180人の小中高校生が学んでいます。
治部の書いた記事で印象に残った塾長の言葉。
これまでの塾の常套手段は、
「まず進学実績で注目を集める。門をたたく子どもにはテストを受けさせ、志望校とのギャップを提示。親を不安にさせたうえでこう言う。『今のままだと、合格は厳しいですね。もっと力をつけませんか』。そして20万円の夏期講習に申し込ませる」。
ふむふむ、なるほど、ですよね。
ま、興味ある人は、記事を読んでみてください。
なお、最新記事「妻の願いはブランド品より、夫の19時帰宅。幼稚舎から慶応、お坊ちゃん育ちの夫の激変」も、同オンラインで今週ダントツの1位アクセス。イイネ・マークの数も11,545と2位の3,141を引き離し、ブッチギリです。
ということで、そろそろ、今日の本題へ(笑)。
4-6月の中国経済が7.5%(年率)成長に回復しました。
2009年には年率10%を超える二桁成長でしたが、その後、7%台にまで減速してきました。2014年1-3月期には7.4%にまで下落したところで、下げ止まった感じです。7.5%という数字は中国政府が目標として掲げる数字とも合致します。
習近平新体制は、「清く正しく中成長」ともいえるスローガンで、経済成長を抑えても、公害・腐敗・格差などの解消を優先させる政策を採っています。
しかし、いざ、経済成長率が減速すると、国内には失業などの不満が高まり、異民族のテロ事件など社会不安も高まる結果になりました。
そこで、今年に入り、「ミニ刺激策」で景気の下支えをせざるを得なくなったのです。鉄道などのインフラ整備投資、中小企業に向けた金融緩和・減税など、過去の大型財政投資に比べると、「かわいい」程度ですが、それでも、直接的な効果はあったようです。
しかし、これはあくまで、一時的な「止血」措置にすぎません。
足元では、中国経済の弱点が目立ちます。
バブルであった不動産市場が急速に悪化していることです。
更に、これまで地方政府が競って増やしてきた「箱もの」などの設備投資の結果、国全体で見ると、供給設備過剰、つまり、工場ばかり作って余ってしまう状況になっています。ここは、増やした供給設備に見合う民間需要を増やさねばなりません。一方、過剰施設の廃棄処分も見られます。「投資から消費へ」をスローガンとして、民間消費を増やすことが国の政策課題となっています。しかし、病院や年金など社会福祉が極めて遅れているので、国民は、将来への不安から「消費より貯蓄」に動いています。
しかも、地方政府が公共投資に使った巨額のおカネが、実はシャドーバンク(影の銀行)と呼ばれるルートで調達されてきたので、この「非公式の金融組織」が問題視されています。影の銀行は、富裕層に様々な金融商品を販売することで、資金を調達してきたのですが、その金融商品のデフォルト(債務不履行)が発覚しています。要は、お金持ちが金儲けのために購入した金融商品が、償還されず、紙切れになってしまう、という状態ですね。
このように、中国経済は大きな構造問題を抱えています。
経済成長率が多少好転したからといって、素直には喜べないのです。
皮肉なことに、金市場にとっては、中国の経済が不安定になると、資産保全のための金購入が増えることが予想されます。
いっぽうで、金宝飾品の購入は減るでしょう。
投資需要は増え、宝飾需要は減る、という結果になりそうです。
投資需要は、金価格が下がると急増するので、やはり、1100ドルから1200ドル台になると、中国の買いが下支えになるでしょう。