豊島逸夫の手帖

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イエレンとウクライナの共振で100円割れも

2014年2月28日


大雪で延期になっていたイエレン新FRB議長の上院銀行委員会での公聴会が27日開催された。
サプライズはなかったが、下院公聴会での発言よりやや明確な表現が目立つ。
特に、市場が最も注目する、今後の量的緩和縮小政策について、経済見通しに著変あれば「再考もありうる」と語ったことが、市場には安堵感を与えている。
かねてから、「米国経済指標の悪化傾向が続けば、緩和縮小中断もありうる」との観測が市場には流れていたからだ。
但し、「結論を急ぐことはない」「量的緩和を今年秋の時点までには終了の予定」とも語り、あくまで選択肢のひとつというスタンスに変化がないことも強調している。
しかし、市場にとっては「reconsider再考」という単語だけで十分であった。
仮に、本当に、今後のFOMCで量的緩和縮小を中断と発表すれば、マーケットにとっては、嬉しい「ちゃぶ台返し」となろう。
中断期間が3カ月とすれば、進行猶予3カ月ということで、リスクマネーは一気に活性化するであろう。高頻度取引が市場を席巻する現在、3カ月は長い。
ポジションを2-3回転はさせられる。


なお、上院でのイエレン証言を見た印象だが、バーナンキ前議長より、議会に暖かく迎えられている印象が強かった。共和党議員でさせ、笑みを絶やさず質問している。イエレン氏の人柄であろうか。


ビットコインについての質問も飛び出したが「FRBはビットコインを監督・規制する立場にはない」と一蹴した。


総じて、大雪の下に埋もれた米国経済の真の状況が明らかになる3月下旬までは、「雪の下になにかあれば、量的緩和縮小中断が考慮される」との安堵感が残ると筆者は見る。
市場への影響だが、仮に、緩和縮小中断ともなれば、強いサプライズとなり、米10年債利回りはレンジの下限である2.5%の攻防となろう。金利差からドル は売られ、円は買われる。あくまで中期的見方だが、ウクライナへのロシア軍事介入など地政学的要因による「逃避通貨」としての円買いと、金利差による円買 いが同時進行で共振現象が生じると、円相場も100円割れが視野に入る。
金価格はイエレン就任から、上昇が加速している。やはり、テーパリング中断期待の買いなのだ。しかし、中断しても、早晩、利上げ・ゼロ金利解除の決断がイエレン氏を待ち構える。その間は、中国・インドの記録的金買いが下値を支える構図となろう。


さて、やっと終わったよ。今日が、ジェフ・ムック(日経BP刊)の最終校了日。
多くのスタッフが関わってチーム・プレーだった。
今回は、初心者向け若葉マークつきページも入れた。NISAの余波で初心者がドドドッと参入中だから。中級者向けページと明確に分けて書き編集した。満足の出来。

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怒涛の追い込みだったけど、いまは解放感いっぱい。
3月12日発売。詳細は(3月26日丸の内丸善オアゾでの出版記念セミナーも含めて)来週のブログに書きます。
今週末はめいっぱいスキー場ではじけるぞ!
なお、今週月曜の東京外国為替市場委員会での講演のときに会った方々からいろいろメールいただきましたが、そんなわけで、まだレスできてません。基本的に別途、行内セミナーは出来ますよ、ということだけ、とりあえず伝えておきます。

2014年