豊島逸夫の手帖

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世界のマネーの流れを見よう

2014年7月1日

今の金・プラチナ・パラジウム相場を読むためには、貴金属市場内部だけを見るだけでは不十分です。グローバル・マネーの流れを見なければなりません。

今週の週刊エコノミストのカバーストーリー「今、マネーはどこに流れているのか」に私のコメントも含めて俯瞰的な記事が出ていますから読んでみてください。ネットでも、この記事は、全文が読めます。↓

http://www.weekly-economist.com/

(続きを読む、をクリック)

「マネーが大移動しているわけでもなく、コアな受け皿があるわけでもない」と私がコメントしているように、パラジウムなど「面白そうな」投資媒体をつまみ食いしている状況です。

そもそも、私は、貴金属ポートフォリオの中で、金はじっくり貯めるもの、プラチナ・パラジウムはトレーディングするもの、と区分けしています。

プラチナ・パラジウムは市場規模が小さく、価格の乱高下が激しいので、下がるときは、例えば2200ドルから800ドルへドーンと暴落したり(リーマンショック後)するのです。パラジウムもしかり。あのときは、市場にけが人が続出したのですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるの例えの如く、今や、皆、その市場の苦い体験を忘れたかのようですね。

難しいのは、出口戦略。いつ売り抜けるかということ。

私たちプロでも、最高値で売り抜けるなどという芸当はまず出来ません。7-8割がたのところで売れれば御の字と考えます。また、そのように考える心の余裕が必要なのです。貴金属に限らず、切羽詰って、これに賭ける、というような構え方では、まず良い結果は生まれません。

プラチナもパラジウムも未だドーンと下がる気配は感じられませんが、グローバルなマネーの流れに明確な方向性が出て、別にコアな受け皿が見つかれば、特にパラジウムからはマネーが流出するでしょう。

生来のへそまがり(笑)なので、パラジウムもこれだけ騒がれると、本能的に警戒してしまうのですよね。

市場が小さいメタルは需給を追ってもダメ。その市場におカネを入れている人たちの気持ちを考えることのほうが大事です。これは、私がスイス銀行NYやチューリッヒで身を持って体験したことです。トレーディングはHFT(高速度取引)化しても、相場心理は人間の心理なので時代を超えて変わりません。

投資とは人間の欲との戦いだとつくづく思います。

かくいう私でも、まだまだ「出家」できるほどの悟りはひらけませんからね(笑)。

肩の力を抜いて臨みましょう。

2014年