豊島逸夫の手帖

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金1140ドル台まで下げ、円建てでは底値圏変わらず

2014年11月6日

ドル高加速で金はドル建てで1140ドル台まで下げ。
円相場も115円接近。
さすがに、円建て金価格も、少しは下がってくれた。
とはいえ、やはり、ドル建てに比し、やはり、下げにくい。
日本では通貨安ヘッジの機能は果たしている、ということか。
今日午後5時から日経CNBCデリバティブ番組に生出演して、見通し詳しく語る予定。
円建てでは引き続き底値圏。
国際金価格のほうは、結局、ドル次第。
中国の買いが、想定より、迫力に欠ける。
原油安がインフレヘッジとしての金買いには逆風。
ただし、これ以上、金がNYで売られるときは、円相場も115円から120円になっているだろうね。

さて、米中間選挙について、量的緩和の視点から見るとこうなる。
オバマ大統領は、雇用者数増加、失業率低下を、民主党経済政策の結果と誇らしげに語ってきた。
たしかに、バーナンキ前FRB議長のもとで展開された未曽有の量的緩和政策により、雇用統計はめざましく改善した。
しかし、雇用の質の部分とされる「平均時給」の伸びは鈍い。
イエレン現FRB議長も、最近の講演で、特に「経済的不平等」について語っている。今にして思えば、イエレン流の「雇用統計の質重視」の裏には、若干政治的配慮があったのかもしれない。
中間選挙直前に、イエレン氏がホワイトハウスに出向き、オバマ大統領と会談していることも、なにやら意味深げな行動だ。
結局、量的緩和政策を含む金融政策は、所得格差を解消できず、今回の民主党大敗を招いた。

この事実は、日本への警鐘にもなりそうだ。
アベノミクスのもと、黒田日銀が力技の量的緩和を加速させる中で、株価上昇による資産効果が一般市民層に浸透するまでには時間がかかる。ただでさえ消費増税の痛みを感じている選挙民は焦れる。
特に、日本では円安の恩恵を受ける人と受けない人の「円安格差」が顕在化しつつある。
円相場が120円に接近すれば、輸入品価格上昇に対する庶民の不満も高まるだろう。
しかし、円売りモメンタム(勢い)に乗った欧米ヘッジファンドは、日本の選挙民の痛みにはお構いなしに、パフォーマンス追求を続ける。
投機的に円を先売りしては買戻しという売買回転が効いているので、「まだまだゆける」との読みを強く感じる。
ここにアベノミクスの新たなリスクを見る。円安がマクロ的な許容範囲を超えた場合に、制御不能に陥るケースだ。
永田町から円安けん制発言が出て、円高に振れても、ヘッジファンドが120円を視野に、新規円売り攻勢をかけるやもしれぬ。

量的緩和に批判的であった共和党議員が、FRB議長の議会公聴会で出口戦略リスクを問う場面も想像される。その場合、議会のイエレン批判が市場で早期利上げ観測を産む可能性もある。米国発ドル買いの波が、日本発の円安けん制発言のインパクトを凌ぐシナリオだ。官製相場を読むときには、日銀・FRBそしてECB(欧州中央銀行)への複眼的目配りが欠かせない。更に、その舞台裏での政治的要因にも配慮する必要があることを、米共和党勝利が示唆している。

昨日の講演で黒田日銀総裁は、「一般的に」円安はメリットと語ったが、120円までの急速な円安進行のケースまで「一般的」範疇に入るのか、定かでない。
通貨投機筋は、官製相場がもたらす価格の歪みが制御不能と読めば、容赦なく、当局の弱みを突いてくる。イングランド銀行に真っ向から挑戦した著名ヘッジファンドの例もある。
黒田サプライズ緩和に発する円安の流れも、115円を境に、警戒水域に突入しそうだ。

さて、NYは、最高13度、最低1度とか。
防寒フル準備態勢で行かねば。
相場が荒れているときにNYに行くと、益々、肉食系になるかも(笑)。
昨晩、すき焼き食べたのだけど、アドレナリン全開のカラダが濃い味を欲しているので、普通の味付けでも「味が薄い!」とか言ってしまった。。。
ミニストップの濃いベルギーチョコのソフトクリーム食べたい~~。
熱いお汁粉食べたい~~。
ガーリックライス食べたい~~(笑)。

2014年