2014年2月12日
イエレン新FRB議長の議会初お目見えは、11日の下院金融サービス委員会での「半期金融政策報告」。各委員が入れ替わり立ち替わりの質問攻めで、休憩をはさみ6時間近くにも及ぶ長丁場となった。67歳の女性にはきつそう。
予め用意された原稿と質疑応答には、マーケットにとって特にサプライズはなかったが、改めて確認できたイエレン氏の基本的スタンス・考え方をまとめてみた。
最大のキーワードは「継続性」(continuity)。市場から見れば、それを確認したかったのだ、と いうポイントである。「バーナンキ氏の政策を引き継ぐ」ことを明確に表現した。かねてから、イエレン氏はハト派と言われてきたが、それが事実であることを 自ら認めたわけだ。そのうえで、現行の量的緩和縮小政策に変わりがないことも確認された。米雇用統計などマクロ経済指標に悪化が目立つ米国経済だが、未 だ、金融政策変更までの震度には至っていない、との判断である。
とはいえ「雇用統計の内訳をみると、6カ月以上の失業者が異常に多い割合を占める。正規雇用を希望しつつ パートタイムで勤務する人の数も多い。」ことに懸念を示した。まだまだ雇用情勢は予断を許さず、「低いインフレ率と高い失業率」の是正のための金融政策に 関して、緩和バイアスが強いことも確認されたわけだ。
市場は、政策の思わぬ乖離を嫌う。それゆえ、株式市場は、「サプライズなし」に安堵し、且つ、いざとなればFRBが「緩和縮小停止」などの緊急緩和策という助け舟を出してくれる可能性が期待できることも確認できたことで、買いの安心感が強まったわけだ。
価格が下がったときに備えるヘッジとしてのプット・オプションに例え、「バーナンキ・プット」と語られてきたが、「イエレン・プット」も期待できることになった。
高値警戒感が強い市場に、このFRBプットは効く。
次に、イエレン氏の金融政策の中核となる「フォワード・ガイダンス」(将来の金融政策の方向性を明示する こと)についても、新たな変更などの言及は一切なかった。特に市場が注視するのは、バーナンキ前FRB議長が掲げてきた「失業率が6.5%」という「引き 締め開始検討の目途」だ。既に、実勢は6.6%まで低下してきた。この点では、「失業率以外の指標も重要視する」との表現から、「インフレ率が2.5%を 超えるまでは引き締めせず」という失業率と並び掲げられてきた「インフレ率」のほうへの軸足の転換の可能性が読める。更に、他の指標を引き締め転換への目 途に加えることも考えられる。ゆえに、今後、雇用統計の改善傾向が顕著になっても、それだけでは利上げは急がずの姿勢を堅持しそうである。
そして、新興国経済変調についても、「米国経済への大きなリスクではない」と断じた。この点は、米国金融緩和縮小政策が「国際協調を乱す」とのインド・インドネシア中銀からの批判的発言を一蹴したと解釈されるだろう。今後、G20の場などで議論を呼ぶことになりそうだ。
以上をまとめたうえで、日本の株式市場への影響を考慮すると、やはりFRB新議長がハト派であることが確認できたことは心強い。しかし、新興国波乱に距離を置く姿勢は、外為市場で「相対的安全通貨」としての円買いを誘引しがちだ。
まずは、3月7日に発表される米国雇用統計(2月)を受けて、3月18,19日に開催されるFOMCが大きな注目点になろう。
「継続性重視」であれば、いきなりの政策変更は考えにくいが、あくまで「経済指標次第」ゆえ、今後の展開から目が離せない。
「金融緩和縮小継続」にもかかわらず、金価格が1300ドルの大台近くまでジワジワ上昇を続けていることも不気味だ。ドルの代替通貨としての「金買い」は米国金融政策への不信任投票と解釈できるからだ。
さて、昨日はゴールドのイベントがあり、ワールド・ビジネス・サテライトでも報道されました↓ http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/
女性誌クレアとタイアップしたので参加者400名の半分が女性でした。
日経ジェフムックの制作も順調。
久しぶりに江連裕子さんと対談しました。
彼女は、欧米に武者修行に行って、帰ってきたところ。元気いっぱいでしたよ。外国の風土があうのかね。