豊島逸夫の手帖

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選挙結果を先取り、「120円達成後」をにらむ市場

2014年12月4日

日本時間昨晩11時過ぎ。NYのヘッジファンドから電話が入った。「自民300議席予測が出ているのか」との問い合わせ。
ふとモニター画面を見れば、円がスルスルと119円70銭を超えている。電子版には23時のタイムスタンプで、「自民300議席うかがう」のヘッドラインが出ていた。
外為市場では、その直前に、119円40銭台から30銭台へやや円高(ドル安)に振れていた。ADP雇用データが事前予測222,000増を若干下回る208,000と発表されたからだ。
それゆえ、アッという間の40銭もの円安進行だったのだ。
NYのファンド勢も日本総選挙に注目していることを改めて感じた。
「アベノミクス継続→円安継続」なのだ。

今週に入っての円相場は、1)産油国通貨・資源国通貨売り・ドル買い、2)欧州中央銀行(ECB)量的緩和を巡る思惑、ユーロ売り・ドル高、3)米国雇用統計改善継続予測、早期利上げ観測、ドル買い、4)原油価格下落が刺激する日銀追加緩和期待、円売り、の複合要因の共振現象により、円安が進行していた。(1日付本欄「OPEC発」の円安、120円も視野に、参照)

筆者の想定外だったのは、突発的日本国債格下げ。そこで円売りポジション巻き戻しの円買戻しが誘発されるという展開であった。しかし、このポジション調整は、結局出遅れたファンドにとって、円売り新規参入の機会となった。
加えて、日本株の「クリスマス・ラリー」(NYのファンドはこう名付けている)も、円売り材料とされた。

市場は、総選挙、ECB理事会、米雇用統計を先取りして円売りに動いている。
「120円が視野」から「120円達成後、どこまで円安が続くか」が早くも市場の次のテーマになりつつある。
ECB理事会に関しては「国債購入型の本格量的緩和決定までは考えにくいが、より切迫感をもって議論されるとみられる」との見方は変わっていない。
特に、今週に入ってから、欧州のPMI悪化が目立ち、対ドルでユーロが2年3か月ぶりの安値(1.23台)をつけている。
サプライズ要因があるとすれば、米雇用統計悪化→ドル売り→円買いだが、日本国債格下げ後の展開同様に、そこは新規円売りの機会とされそうだ。
年末にかけて、日銀官製相場の日本株上昇と、選挙結果を先取りする円売りが互いに刺激しあい進行する地合いとなりそうだ。

そして、NY金は、ドル高にもかかわらず上げ。
円建てでも、グラム50-60円の上げ。プラチナも同様。
ドルの動きより、セリング・クライマックス後、若干買戻し気味の原油価格に連れた上昇。1209ドル台までつけたが、原油次第となると、振れが激しいので、まだ安心はできない。
引き続き、荒っぽい底値圏確認の局面だ。

さて、今晩は、日経CNBCでTrader's Bar の放映。日経CNBCネット配信のオンデマンドでも見られるよ。この番組は面白く出来ている。

www.nikkei-cnbc.co.jp

日経新聞のBSテレビ欄には「敏腕トレーダーが集まるバー。今夜のお客様は為替市場とグローバルマーケットの専門家たち。急激に進んだ円安の背景と来年の展望は、そもそも為替市場は予測できるのか。豊島逸夫ほか。」と紹介されているね。

ちなみに12月17日のニュースコア・ワイドではまた30分たっぷり喋る。こっちは、先月に続いて2回目だね。こっちもネット配信あり。

それから、今週末の日経マネーセミナー大阪だけど、ドッサリ事前質問が寄せられている。おそらく私の持ち時間では答えきれないので(2015年株為替商品マーケット全体がどうなる、というテーマで話すし、雇用統計直後だし)、休憩時間にでも、ロビー(あるはず)で辻説法するよ (笑)。 東京会場には真っ赤な車があって、そのまわりでやったけど。
大阪だから、また、ディープな天王寺のタコ焼き「山ちゃん」に寄ろうかな。
今月は、再来週も関西出張があるので、ついでに、京都南座の顔見世見て、なにわの法善寺横丁に寄る予定。
来週はNY出張。またヘッジファンドに呼ばれた。来年の運用について。私の担当は日本株買いと円売りの是非について。もう寒そうだな~~。
山ちゃん→ウルフガング(マンハッタンでお気に入りのステーキハウス)→夫婦善哉というサイクル (笑)。

勿論、京都祇園の「らく山」にも寄る。なんてったって、もう、エビイモも育っているだろうし、寒さで大根のたいたん、も甘みを増しているだろうし。

2014年