豊島逸夫の手帖

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女子限定セミナー(雑誌クレアとタイアップ)のお知らせ

2014年4月1日


4月17日に開催される女子向けイベントに講師として参加します。
http://goldfes.jp/2014/spinoff_vol1/
NISAの影響もあって、最近、女性の市場参入が目立ちます。初心者が多く、傍からみていると、心もとない気もしています。
NISAだ投資だと煽られて動く前に、一息入れて、気楽に勉強する会を持とう、というのが今回の趣旨です。
最近、私も、このような機会が増えているので、女子参加者の心理は把握しているつもりです。
Toshima & Associatesに「働く女性のリーダー格」治部れんげも参加することになった背景でもあります。
「投資」というより「貯める」感覚で考えてみたいと思います。
お知らせは以上。


以下は中級者向け原稿。
市場の当惑を払拭したイエレン講演
31日のシカゴでのイエレン講演は、米雇用統計より強く持続的なインパクトを市場に与えた、とさえ思える内容であった。
そもそも、イエレンFRB議長が初のFOMC後の記者会見で「量的緩和終了から利上げへは6ケ月くらい」と明らかに口を滑らせ、市場を当惑させたことは、明らかに「失言」であった。ハト派とされたイエレン氏の言葉とも思えず、市場は理解に苦しんだ。
その失地回復の場が意外に早く巡ってきた。
それが31日シカゴでのイエレン議長講演である。
さすがに、「6ケ月」発言は真意にあらずとまでは言わなかった(言えなかった)が、米国雇用の改善が遅れていることを強調したうえで、その要因は「需要不 足」にあるゆえ、金融政策がお手伝いできる余地あり、と言い切った。労働市場における供給過多、需要不足現象を表現するためにslack(需給の緩み)と いう単語を繰り返し使った。
Great Recession(大不況)という強い表現も敢えて使い、米国経済がまだ回復過程にあることを強調した。
上から目線も抑え、「正常化の過程は、多くの米国人にとって不況感が残る」と語った。
そのプレゼンテーションの手法が、通常のFRB議長の講演スタイルとは異なり、非常にユニークであった。
「長期失業者」「賃金カットされた人」「もっと働きたいのにパートタイムに甘んじている人」の実在の3人の名前を引き合いに出すことで、デモンストレー ション効果を高めたのだ。イエレン氏のスタッフが雇用促進NPO法人などを通じてコンタクトをとり、実名での「出演合意」を取りつけたようだ。各人の職歴 まで紹介したうえで、現在はテンプで給料が低いことなどを語った。
単に、「労働参加率の逓減傾向」「賃金抑制」「長期失業者増」「正規雇用を望むパートタイマー増」を理論と数字で語るだけでは、「失地回復」のインパクトが薄いと読んだのだろう。


総じて、米国経済には、有事対応の非伝統的金融政策がまだ必要であることを強く印象づけた。市場には「やはりイエレン議長はハト派」との安堵感が急速に拡散した。
ウクライナ国境近くからロシア軍一部撤退の報道も重なり、市場はリスクオフからリスクオンに転換したのだ。
こうなると、今週の目玉である米雇用統計が仮に悪くても、イエレン緩和継続期待から、市場では「良いニュース」扱いされる公算が高まった。


結果的に、31日のイエレン講演で、米雇用統計の不透明感が払しょくされた感さえある。
そもそも、雇用統計の指標としての妥当性が問われている今、イエレンFRB議長が講演で詳述した金融政策の指針が、今週最大のイベントとして残りそうな様相である。

2014年