2014年10月17日
16日のNY市場は、なんとか持ちこたえた。
寄りつき後、ダウは200ドル以上急落。しかし、「白馬の騎士」の出現で、市場の悲観ムードが和らいだ。
その人物は、セントルイス地区連銀ブラード総裁。経済チャネルや経済紙のインタビューに相次いで応じ、「(経済状況次第では)量的緩和終了を10月から12月に延期も選択肢」と発言したのだ。
投票権のないFOMCメンバーの発言とはいえ、市場には「執行猶予」の安堵感を与えた。
更に、新規失業保険申請件数も264,000人と14年ぶりの低水準。前日とは一転して、米国経済の雇用改善を印象づけた。
株価は反転。債券は売られ、米10年債利回りは前日の2%割れから、2.16%を超える水準まで上昇した。
株式は楽観論で育ち、債券は悲観論で育つことを、市場は、この二日間で改めて実感している。
原油価格もWTI先物が一時は80ドル割れの局面もあったが、その後83ドル台まで反発した。
昨日本欄で指摘したところの、15日が株とドルの売りクライマックスだったとの認識も強まる。
とはいえ、ブラード氏は、「欧州経済は三番底の不況に陥る恐れあり。欧州債務危機再燃の可能性もある」と物騒な発言もしている。
量的緩和終了延長の件についても「現在の市場の波乱が重篤な症状であれば」との但し書きをつけている。やはり、FOMCとしても、マーケットの実態を読み切れていないことを、はからずも語ったように思える。
俯瞰すれば、現在の市場ボラティリティーの高さは、正常化プロセスにともなう痛みなのだろう。
南欧国債や米ハイイールド債を買いまくるほどの過度のリスク許容度の反動で、極端なリスク回避現象が生じた。
しかし、機関投資家としては、いつまでもリスク回避では、そもそも存在意義を問われる。
そこで、次の一手は、リスク回避からリスク調整へのシフトになろう。
いまやリスクのない資産はない。リスクから逃げるのもリスクである。そこで、あらためてポートフォリオのリスクを見直し、資産配分のリストラをせねばならぬ時期ではないか。
今回の市場騒擾は、少々荒っぽかったが、過度のリスク・テイクを戒める効果はあったように思う。