豊島逸夫の手帖

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日米欧中同時緩和で金1250ドル台

2014年10月22日

先日書いた日米欧中同時緩和に金相場は今頃反応して上がっている。(遅い! 笑)。
特に、中国経済成長が7.3%にまで下落して、更なる金融緩和が予想されること。
欧州中央銀行(ECB)が、量的緩和の買い入れ対象として社債も考慮中とのロイター電も効いた。
欧州債務危機再来かとの危機感が背景にある。
更に、この危機感が安全性を求めるマネーの金市場への流入を誘っている。
さすがに、新興国からの現物注文も増えてきた。
とはいえ、結論からいえば、このあたりが、当面の相場の天井と見る。
米利上げがいずれ現実となるからだ。
そこが買い場。
そのタイミングが何時になるかで、市場には様々な意見が飛び交い、米地区連銀総裁たちの発言に揺れるのだ。
1200ドルに再接近したら、また、買い増したい。
1200ドルでブログに私も金買い中と書いたが、いまは、動かず。(円建て金価格は殆ど変っていないけどね~~)。
かといって、買った金を売る気はサラサラない。
逆に、安値で買ったプラチナは売りたい。プラチナはトレーディングするメタルと私は思っているから。

さて、落着きを取り戻し上昇した21日の米国株の中で、下げが目立つ2社がコカコーラとマクドナルドだ。
両社とも21日に発表した四半期決算が悪化した。

コカコーラ社は、純利益が前年同期比で14%減。EPSが48セントと、アナリスト予測を4セント下回った。売上高も前年同期比でほぼ変わらず、さえない。特に先進国での若者の炭酸飲料離れが響いている。対照的に、スポーツドリンク、ミネラルウオーター、茶は売上を伸ばしている。スナック部門健闘が業績を支えているペプシ社とは好対照だ。

マクドナルドは純利益が前年同期比で30%もの減少。中国食品会社の期限切れ鶏肉使用問題の影響が強いものの、長期的な若者のマック離れ傾向への対応が後手にまわっている。嗜好の多様化のなかで、個々の注文に応じる競合店にシェアを奪われた。売上の7割をドライブスルーなどのファースト・フード形態に依存する店舗に、スロー・フード的なメニューを導入することは、ただちに生産性低下につながる。既に、一部で支払いのデジタル化などの対応措置を進めているが、全体のビジネス・モデルを変えるには、もはや企業規模が大きすぎる。

いっぽう、顧客の若者たちの、健康志向、ご当地特産メニュー志向などは強まるばかりだ。
同日に発表されたコカコーラ社とマクドナルド社決算は、米国版団塊ジュニアのミレニアル世代にとって、「コーラを飲み、ハンバーガーを食べる」ことが、「クール」(かっこよい)ではないとの世代感覚を映している。
著名投資家のジム・ロジャーズ氏は、対談の際に必ずコーラを注文するのだが、「コーラ飲むのは、もはや、オヤジだけさ」と自嘲気味に語る。

更に両社とも企業組織が肥大化して、日本型の部門別「タコツボ」形態になりつつあることも指摘される。これでは、急速に変化する顧客トレンドについてゆけない。このままでは、「とりあえず腹具合を満たせばよい」という中流階級以下の層以外の、付加価値を生み出すセグメントを取りこめない。
M&Aで、競合店を傘下に入れつつあるが、企業風土を変えることは容易ではない。
21日のNY株価上昇の波に取り残されたことの背景には、このような構造要因があるのだ。

今日の写真は、麻布十番で食べたニュージーランド産ステーキ。

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NYのWOLFGANG以来の肉食系がまだ抜けず(笑)。一応、草食系投資を標榜しているので、まずいなぁ。。。御用繁多になると、カラダが肉を求めるのだよね~。

2014年