豊島逸夫の手帖

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ポルトガル発株安円高進行の真相

2014年7月11日

ポルトガルの名門エスピリト・サント家は、1869年に両替商を設立。(これが現在ポルトガル銀行最大手のバンコ・エスピリト・サント(BES)の前身である。)その後、ホテル・病院・金融保険業通信業を含むコングロマリットに成長した。その核となるのが、エスピリト・サント・インターナショナルという持ち株会社だ。そのルクセンブルグ籍の持ち株会社が、エスピリト・サント・フィナンシャル・グループ(ESFG=リスボン証券取引所上場企業)の株式49%を保有し、ESFGがBESの株式25%を保有するという構図になっている。

そのESFGに、この5月には、ポルトガル中央銀行監査が入り、同社が「重篤な経営不安」に陥り、更に不正会計も発覚したことが、BESにより公表されていた。

そして、今週に入り、ESFGは、短期債務の返済を延期したことで、一気に市場に金融不安が拡散したのだ。

ポルトガルの代表的金融機関経営不安悪化の報は、ただちに南欧市場全体に伝染。

スペイン市場では、大手建設会社が社債発行延期、イタリア市場では、薬品会社が上場を中止、そしてギリシャ市場では、3年物国債(15億ユーロ)入札が不調、という負の連鎖が24時間内で顕在化した。

ポルトガル10年債利回りも、一時は3.20%台にまで低下していたが、10日には4%の大台をつける局面もあった。

わずか1週間前の3日には、米ドル建てポルトガル10年もの新発債45億ドルに対して100億ドルの応募があったばかり。リードマネジャーにはバークレイズ・HSBC・ソシエテジェネラルなどが名を連ねていた。

格付け会社もムーディーズが5月には「経済状況改善」を評価して、同国国債をBa2へ格上げしていた。

そのような楽観ムードが一日で激変するところに、南欧経済の脆弱性が透ける。

欧州中央銀行による流動性供給で信用収縮(クレジット・クランチ)は回避されても、ソルベンシー(債務返済)の面での構造的問題の改革は遅々として進まない。

更に、ポルトガル株式・債券不安は、大西洋を渡り、ニューヨーク株式市場の寄り付きを直撃した。

一時はダウ平均が180ポイント近くも急落。

その後、欧州市場が引けた後は、下げ幅を縮小した。

とはいえ、今回のポルトガル信用不安が、欧州債務不安再燃のキッカケになると見る向きは少ない。

但し、最近市場に蔓延していた、低金利・低ボラティリティーによる投資家の過度な楽観に釘を刺す効果があったことは間違いなかろう。

市場の不安指数といわれるVIXも、一時は10の大台すれすれまで下落していたが、10日には約8%反騰して、12.5前後の水準をつけている。(それでも、まだ歴史的低水準ではあるが。)

市場参加者の多くが、「静かすぎる市場」に慣れ、リスクに鈍感になり、いっぽうでニューヨークタイムズの「everything bubble すべてがバブル」という記事がウォール街で話題となっていた矢先のことであった。

それゆえ「なんとなく気味悪い静寂」に浸っていた市場が、ポルトガル信用不安の報で、「劇場のシンドローム現象」を引き起こしたのだ。満席の劇場で誰かが「火事だ!(売りだ!)」と叫ぶと、観客全員が狭い出口に殺到する現象である。

ニューヨーク市場でも、今回の一件を、トレンド変化と受け止める見方は極めて少ない。とはいえ、いずれ不可避の高値調整のキッカケとなる可能性はある。

ジャンク債、ルーブル買いなど、安易にリスク選好に走っていた投資家には警鐘を鳴らす効果はあったようだ。

なお、日本市場にとっては、リスク回避の円買いによる円高が進行するというトバッチリを受ける結果になっている。時あたかも、ドル円の200日移動平均線が明確に下抜けして、米国雇用統計改善でもドル買いは続かず、円高テリトリー(領域)突入が意識されていた。

グローバルな視点で見ても、米国債、円、金のトリプル高と、絵に描いたような「リスクオフ」症状を呈している。

既に欧米市場は徐々に夏休み入りしているが、まだまだ気を抜けないことを図らずも示す展開となった。

金は1340ドル台まで急騰したあと、1330ドル台で推移。

1250ドルなら安い、1350ドルは高い、というレンジ。

さて、最近はまっている、ごぼう茶!

写真は、まずペットボトルのごぼう茶(鹿児島産)。これは、某社で打ち合わせのとき、ブログで私のごぼう茶好きを知った女性が、わざわざ会議用に出してくれた。

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それから、家庭用の、ごぼう茶葉。こちらは、青森産。英語でburdock rootと表示してある。でも、ガイジンには分からないだろうね、ごぼう茶なんて(笑)。でも、日本では、ノンカフェインのお茶が、なかなか外食ではメニューにないのだよね。ノンカフェインのお茶と頼むと、キョトンとされる場合が多い。なにいってんの、この人、という感じで。ノンスモーキングはだいぶ広まってきたけどね。ただ、地方にゆくと、まだまだ、禁煙に関して無関心というか、座るなり、いきなりタバコに火をつける人が多い。子連れのファミリーで、小さな息子に向けて、プファーッと煙吐いてるママさんもいる。

なお、写真に戻って、あとは、別件の事務所の打ち合わせに持ってきてくれた、オリーブ大福。こぶりの大福に、オリーブオイルかけて、食べる。これが、意外に合うのだよね。

2014年