2014年5月8日
いまやドル円市場におけるクロダ氏の存在感が薄まり、イエレン氏の言動が相場を揺らせている。ドル円とドル金利の相関性が強まっているからだ。
7日の欧米市場でも、米議会公聴会でのイエレン発言が注目を集めた。
議員との質疑応答セッションのネット生中継を見たが、中央銀行の「ハト派」は、経済に対しては厳しい見方を持ち、だからこそ、緩和継続の必要あり、と説くことを改めて感じた。
総論では米国経済回復に自信を示す。1-3月期のGDP成長率0.1%という数字も、寒波による一時的停滞としたうえで、民間の支出・生産はリバウンドしており4-6月期には成長軌道に戻ると予測している。
しかし、総論を簡潔にまとめた後で、各論に移ると、途端に説明が長くなった。
米国経済のかかえる4つのリスクについて詳述したのだ。
その発言をまとめてみた。
1) | 住宅市場 「今年に入り、住宅指標には失望している。住宅市場の「踊り場」状況は今予測されているより長引きそうである。」 |
2) | 労働市場 相変わらずslack(需給の緩み)という言葉を多用している。「雇用統計はかなり改善したが、満足できる状況からは程遠い。長期失業者数もフルタイムで働きたいのにパートタイムに甘んじている人の数も歴史的に高水準。賃金の伸びも鈍い。」 |
3) | 地政学的リスク ウクライナという国名こそ出さなかったが海外要因にも言及した。「地政学的リスクと新興国経済の金融不安は明らかなリスクである。」 |
4) | 債券・株式バブル この要因については、リスクを認めつつ、不安感は抑制した表現で冷静に語っている。「大手銀行や生命保険会社は、イールドを求めハイイールド債などの債券 保有リスクを高めているが、まだ控えめで多いとは言えない。株式・不動産市場の評価(バリュエーション)も歴史的なレンジの中に収まっている。」 |
結論としては、「今後、雇用とインフレ率が望ましい均衡に接近しても、しばらくの間は、政策金利(FFレート)を歴史的な低位水準に留める。」とのハト派トーンで締めている。
市場には、緩和継続の再確認により安堵感が流れ、リスクオフも暫時後退した。株高、円安に振れている。
しかし、市場が知りたかった「ドル金利低迷の理由」についての説明はなかった。おそらく、FRB内でも意見が分かれる「謎」なのであろう。この「謎」に対する答えが明示されないと、市場内にはドル売りバイアスが残る。
中期的に見て年末までには、米国経済の成長軌道とともに、ドル長期金利も徐々に3%の方向に水準を切り上げてゆくと思う。
しかし、足元では、ウクライナ緊迫による「安全資産」としての米国債へのマネー逃避が続き、結果的に10年債利回りは2.5-2.6%程度の低水準で推移しそうだ。
7日の欧米市場では、プーチン大統領の「歩み寄り」とも取れる発言で切迫感がやや薄れ、同じく「安全資産」の金価格は20ドル近く急落。再び1300ドルの大台を割り込んだ。
だが、金市場内では、投機筋が、このプーチン発言を売り手仕舞いの口実に使ったフシもある。「噂で買ってニュースで売る」という常套手段だ。
とはいえ、5月8日は、旧ソ連最高会議幹部会が「英雄都市」という名誉称号をオデッサに贈った記念日である。第二次世界大戦の独ソ戦において、独軍に対し て激しく抵抗して、英雄的行為を見せた旧ソ連邦内の都市の名誉を称えた一環で、オデッサにとっては「ソ連邦英雄の称号」なのだ。
プーチンが抑え気味の発言をしても、一端火が付いた親ロ感情の高揚は収まる気配がない。ウクライナ国内が制御不能状態になるリスクを市場は最も懸念している。
このような市場環境の中では、円相場も、引き続き円高バイアスが優る地合いが当面続きそうだ。
なお、話は米国議会公聴会に戻るが、代わる代わる質問に立つ議員たちが、経済にはやや疎かったり、選挙区を意識した、「質問」というより「演説」に近い類も多いので、イエレン氏としては、御しやすい印象であった。
今後、サプライズがあるとすれば、海千山千のベテラン経済記者が痛いところを突いてくる質問を連発するFOMC記者会見のほうであろうと感じた。
さて、オデッサというと、私はフレデリック・フォーサイスの「オデッサ・ファイル」を思い出すな。面白くて一気読みした記憶がある。ドイツ人記者と元ナチ秘密組織の暗闘を描いた小説だった。たしか映画にもなったような。
クリミアといいオデッサといい、歴史的に欧米人にとっては、なにかと思いがついてまわる場所ばかりだ。
地図で改めて見ても、たしかに東西を結ぶ戦略的に重要なスポットだよね。
昨日は連休明けで「社会復帰」するのに手間取った(笑)。
怠け癖は、すぐにつくものだねぇ。
震度5弱の地震で中央区内の32階の事務所がどうなっているか、おそるおそるドアを開けてみたけど、まったく痕跡もなし。
地震対策で、書棚を支えておいたのが、役に立ったかな。
昨日のブログで一番反応があったのが、やはりイエレンより山菜(タラの芽)の写真!
東北の山菜天国といえば、やはり山形県でしょう。
20種類くらい山菜づくしを供する店もある。
山菜取り名人について(免許皆伝)の私は、特にタラの芽取りが得意なのだ。
遠目でタラの木をめざとく見つける。
作業用手袋(棘あるから)とゴルフの古いドライバー(てっぺんになっているのを、かきよせる)が必需装備。
山菜狩りに夢中になって行方不明という事件も多いけど、夢中になる気持ちも分かるし、ハッと気が付いた時には東西南北方向感失っている感覚も分かる。
急な沢に自生しているのも多いし、気をつけねばね。
スキーでバランス感覚だけは養われているけど(笑)。