豊島逸夫の手帖

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先物売り 対 現物買いの構図 パート2

2008年11月4日

本欄10月28日にこう書いた。
"リスク資産は圧縮して現金で待機するモードが続く。ディーラーもうっかり売値買値を張れない。先物は撤退モードで売り先行。現物は需要が強く品薄状態。こういう場合、最後にトレンドを決めるのは 買って売りでチャラになる先物ではなく、買いっぱなしの現物である。"(引用終わり)

いよいよ11月で米大統領選挙、そして11月15日の金融サミットとビッグイベントが続くと雀は騒いでいるが、マーケットの材料としては"大きすぎる"ので、反芻咀嚼して消化するのに時間がかかる。しかも、オバマになろうと、マケインになろうと、危篤患者を引き継ぐ医師のようなもので、急激かつ劇的な回復は望めない。それに、今や米大統領の一言より、FRB議長の一言のほうが、マーケットには遙かにインパクトがある時代である。

金融サミットも、第二次ブレトンウッズとか雀は騒いでいるが、国際通貨制度に妙案がないことは歴史が示している。IMF(国際通貨基金)もSDR(特別引出権=IMF加盟国が国際収支不均衡となった場合に、外貨を豊富に保有している加盟国から外貨の融通を受けることができる権利)も挫折した。国際協調という錦の御旗の元に集結して、総論、何とかせねば、という"危機感は共有"するが、各論になると各国の思惑が交錯して収拾がつかなくなるは必定。 

米大統領より、金融サミットより、マーケットの火急の問題は、今月のヘッジファンド解約がどの程度実際に生じるか、ということだろう。この目の上のたんこぶがなんとも鬱陶しく、相場は上に行けない。この解約ラッシュが一巡したところで、株も金も一斉に上に動きだすと見る。

2008年