豊島逸夫の手帖

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上海金先物誕生 一足早く1000ドル達成

2008年1月11日

9日に取引開始された上海金先物取引。初日の取引量は約121トン(2日目の昨日も95トン)。これは東工取の同日約139トン、NYMEXの550トンに充分匹敵する数字である。

ただし、その価格レンジはロコロンドン(標準的国際価格)に比し50ドルから100ドルもの強烈なプレミアム。日中、1000ドル相当の値付けも見られた。裁定取引の働かない完全に隔離されたローカル市場なのだ。ここでは上海株式市場と相似点あり。しかも、現引きはできない。完全なペーパーゴールド。それでも、この市場の熱気、迫力は世界の金市場を驚かせた。

UBSのアナリストは、金ETF誕生以来の金市場におけるビッグイベントと位置付け、今週中に900ドル達成のきかっけになるだろうと述べている。

当社の上海事務所にもヒヤリングしたが、"ご祝儀買い"がかなりあるよ。17%の付加価値税が課税対象になるかも不明、とも言っていた。現地もいまいち不透明のようだ。

しかし、筆者は皮膚感覚でこの市場は育つと直感している。上海でセミナーの講師を頼まれたときに、初心者に講義し、あとでテーブルごとにフリーディスカッションさせると、参加者が口角泡飛ばし、私は強気、いや俺は下がると思う、と騒然とした場の雰囲気になった。まず、おとなしい日本のセミナーでは考えられない風景だ。13億の人口の国にこういう投機家予備軍がいるということで、このマーケットは育つな、と実感した瞬間であった。

さらに、北京で銀行関係者のセミナーでのこと。Q&Aになって、全員の手が挙がり、指名された真面目そうな部長っぽい人が、開口一番、何と質問したか?  "金って、儲かりまっか?" 銀行関係者の真面目なセミナーだよ。これも日本では考えられない。

マーケットの流動性が育つには、多少のお行儀悪さも必要というのが筆者の持論。あの時も、下手したら極東時間中の価格形成力を東京から上海に持って行かれるかも、と感じたものだ。早速、野次馬気分で視察に行ってこようと思っている。

もうひとつの昨日の話題。これはNY。バーナンキ発言。以下原文そのまま。
We stand ready to take "substantive" additional actions as needed to support growth and to provide adequate insurance against downside risks.
(経済成長を維持し、下振れリスクから守るために、"中身のある"追加的措置を取る用意あり。)

これほどまでに、はっきりと、substantiveな=大幅利下げを明言したFRB議長はいない。0.5%利下げ示唆というより、明確な意思表示である。しかもadditional=追加的ということは、3月以降も大幅利下げ継続を示唆している。

金価格は、直ちに反応。890ドルを抜けた。ロンドン時間に、すでにECB金利据え置き=ユーロ高で4ドル上昇していた地合もあった。

こうなると、ドル金利は3.75%、ユーロ4%で、ついにドルとユーロの金利が逆転する。対ユーロでのドル安加速も必至。ドルユーロはすでに1.48、一方ドル円は109円台で動意薄。

900ドルへの市場環境は整った。

2008年