豊島逸夫の手帖

Page564 経済のパールハーバーだ!

2008年9月25日

今回のタイトル、バフェット氏の昨晩の発言である。実際の真珠湾攻撃は米国民の目の前で惨劇が展開され、その被害も一目瞭然であった。ところが今回の真珠湾攻撃は、まだダメージの総額が分らない。これから政府が査定した買い取り価額次第で、被害額の全容が明らかになる。

さらにバフェット氏いわく。今回のゴールドマンサックス(GS)への出資は、政府による救済策に対する信任投票であると。もし、公的救済なかりせば、私だって50億ドルもポンと出さんよ。もし、自分に75兆円相当という公的救済資金が与えられれば、それを使い廻して儲けてあげる自信はあるよ、とも言った。でも、ポールセンもGSのCEO出身だから、うまく立ち回ってくれるだろうと期待している。

要はFRBと米財務省が巨大投資銀行になったわけ。

そこで、政府の買い取り価格が幾らになるか。これが米国民の生活に直接的影響を与えることで、消費などの実体経済へ波及の程度が判明してくる。

ここで問題なのがmark-to-market=時価会計という仕組み。例えば、貴方の持家の土地は、これまで5000万円と言われてきた。お隣も土地も同じく5000万円と不動産業者は言っていた。ところがサブプライム勃発以来、凍りついた不動産市場では売買が成立しないので、実際のところ幾らで売れるのか見当もつかない。そこに、隣人が返済遅延で差し押さえられた。そこでいよいよ政府の買い取り機構により査定されることに。そこで出た"時価"は2000万円となった。その瞬間に貴方の土地の"時価"も2000万円で決定。この土地を担保に銀行から住宅ローンを組んでいたので、銀行は間髪入れず担保の積み増しを要求してくる。そこで慌てて融資を求めたが、銀行は信用収縮の貸し渋りでクビを縦には振らない。結局、貴方もマイホームを手放す羽目に。

このようなリスクの連鎖があるので、公的救済の方法論は大きな政治問題になるのだ。今回の議会証言では、普段控え目のバーナンキさんが、非常に暗い米国経済のシナリオを大胆に語っている。普通なら、そのコメントだけでマーケットは大騒ぎになるような言い回しだが、今回に限っては議員相手に政治的決断を促すための"脅し"みたいに解される。

75兆円は米国民一人当たり20万円の負担になるそうだが、ここは買取債権に対してETFを設定して上場してみたら?公の市場で価格形成が行われるのでは?

とここまで書いたところで、早朝からブルームバーグTVの生出演のお迎えの車が来たから、今日はこれでおしまい。

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