豊島逸夫の手帖

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パニックになってはダメ!調子に乗ってもダメ!

2008年9月30日

今日の第二部。米国議会は公的救済の最終合意に至らなかった。ユダヤの休日も始まるから議会も休会に入る。大統領選挙まで、あと30日の政治空白期。このまま宙吊り状態が続くのか。極度のfear(恐怖)がマーケットを襲っている。不安などというハンパなものではない。これは誇張ではない。

問題の核は債券ショックである。金融機関同士が疑心暗鬼になっているから、経済にカネが回らないのだ。LIBORと米国債のスプレッドが急上昇。銀行間資金融通市場の金利は急騰。質への逃避で米国債の利回りは低下。

債券市場が凍りついたままである。自動車を買ってもローンが組めず、企業は在庫金融が出来ない。問題はウオール街ではない。Main Street庶民の生活を直撃しているのだ。

それなのにNYSE(NY証取)の周りでは、ウオール街の高給取りの救済に庶民の血税を使うな、というプラカードでピケが張られる。その憤りは分かるが、それより貴方の息子の学資ローンが組めなくなるのだよ。高給取りのペナルティーは後で考えるとして、ここは、まず、カネが流れるように"血栓"を取り除くべきでしょう。危篤の患者を運ぶ救急車が交通渋滞に巻き込まれ、路上の車が道を開けない状態である。ウオール街の救済ではなく 庶民(main street)の救済なのだ。

自由主義経済とはいえ、フリーマーケットとはいえ、政府の介入が必要な時期もある。今後、しばらくは、レバレッジは外して、規制が強まる時代に入ることを覚悟せねばならぬ。

ヘッジファンドはレバレッジを収縮するから(ディレバレッジ)、当然これまでのような高パフォーマンスは望むべくもなく、解約が殺到する。ここが、かなりのショックをマーケットに及ぼすことになる。

そこで金もヘッジファンドの換金売りに見舞われる可能性もあり、ここは、あまり調子に乗らないほうがよろしい。庶民が痛みを感じる問題になるから、最後の土壇場で危機回避の政治的な妥協が図られることは間違いない。それまでのパニック、ショックである。昨日書いたように、"それを未然に防ぐ手立てとして 主要国の"協調利下げ"というシナリオもあるよ!!"

こういうときに"有事の金"に飛びつくとロクなことはないよ。

金が1000ドルを突破しても全く不思議ではない状況だが、900ドル台。原油も商品も金以外は全面安。これはかなりの逆風と言える。ユダヤ系ディラーもユダヤ休日を控え、利益確定モード。昨日の本欄にも書いたけれど、噂で買った連中がニュースで売っているよ。

2008年