豊島逸夫の手帖

Page456 新たなドル凋落の傾向

2008年3月28日

韓国公的年金基金(運用資産規模22兆円、世界第5位)が、米国債購入を打ち止めと発表して話題になっている。"質への逃避"で、"米国債バブル"に近い水準まで買いこまれ、今や利回りが2年もので1.7%まで低下。昨年半ばには5%であった。

同基金は2兆4千億円相当の米国債を保有しているという。その代わりに、より利回りの高い欧州政府の国債を考慮中とのこと。先週末のアジア16カ国中銀総裁会議でも、総額1兆ドルを超える対外準備資産を、米国債ではなく、お互いの国の発行する国債に振り向けようとの話し合いがあったばかり。

"結局、米国が長年垂れ流してきた経常赤字のツケが回ってきただけさ"とニベもない。次に、ドイツ銀行に大幅追加損失の可能性が浮上。同銀行はサブプライム汚染に比較的侵されていない堅実な銀行とされてきたが、今週になって、突然、衝撃の告白。米国住宅関連債券、モノライン関連、簿外資産の存在、レバレッジ ファイナンス、仕組み債などのお馴染みの諸問題が、利益目標達成を困難にしたということで、巨額の追加損失発表を示唆したカタチだ。ドイツ銀行よ、おまえもか...。

かねがね米銀より、欧州銀がこれから"やばい"と噂されていただけに、マーケットにはショック。米銀サイドについても、米国経済チャンネルで、昨年シティー格下げの口火を切った新進気鋭の女性アナリスト、ウイットニー女史(オッペンハイマー社)が、シティーの株価は21-22ドルだがbook valueは10-12ドル程度、メリルの株価は42-44ドルからbook valueの29ドル近くへ下落と大胆な予測を披露していた。4月中旬の両社の決算発表にますます注目が集まる。(彼女は無名のアナリストだったけど、早口で歯切れ良いコメントをじっくり聞いていると、理は通っていて説得力は感じるね)。ちなみに、2008年第1四半期の商品別追加損失計上額は彼女の見立てで以下の通り。

CDO 210億ドル、 CMBS 52億ドル、 Alt-A 50億ドル、レバレッジローン 60億ドル、計370億ドル。(いちいち専門用語の解説をやってられないので初心者の方は読み流してください。このブログはプロにも結構読まれているもので...)。

次の話題は資源大手M&A頓挫の話。ブラジルのヴァーレとスイスのエクストラ―タのM&Aが破談になった。注目されるのは、ヴァーレの次の買収ターゲットに、インパラやロンミンなどのプラチナ鉱山会社の名前が出ていること。金鉱山業界ではすでに大型合併が相次いでいるが、プラチナ鉱山にも新たな動きが出そうな兆候である。

最後に金価格は940ドル―950ドルのレンジでもみ合い中。ドルが対ユーロで再び最安値圏へ突入。流れは変わらない。

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