2008年4月16日
原油の需給で正当化される価格水準は60ドルとか80ドルとか言うアナリストたちの指摘を嘲笑うかのように、原油は連日の新高値更新。需要サイドを見れば長期の原油需要は明らかな上昇トレンド。
■世界の原油消費量予測(日量100万バレル単位)
2010年 2020年 2030年
米国 22 25 28
中国 9 12 15
世界 92 104 118
(米国エネルギー省統計)
この需要増はマーケットに、ジワジワ、ボディーブローのように効く。ディカプリング論がリカプリング論にシフトしても、所詮、景気循環という中期的な話。長期は米国も中国も需要増という意味では"リカプリング"である。
対して、供給サイドは常にサプライショックに晒されている。OPECの増産否定、ナイジェリアの内情不安、ヴェネズエラの輸出停止、等々。これら要因は即効性がある。そこに金融商品化した原油先物市場に過剰流動性が流入する構図。その過剰流動性は以下のグラフのごとく、倍々ゲームで増えてゆく。
資金量の規模がこれだけ膨大になると、仮に株式、債券が安定しても、商品分野にリスク分散マネーの流入が止まるとはとても思えぬ。膨大な資金規模だからこそ、伝統的資産クラスだけでは"分散が効かない"のだ。つまり、過剰流動性は、原油市場に寄せては引く潮の流れのごとく、in-and-outを繰り返すと見るのが最も現実的だろう。需給だけを見るアナリストが"こんな需給を無視した価格水準はあってはならないこと"と嘆いても、それを聞く方も虚しい。素直に現状を認め、その上で経営計画なり運用計画を立てるべきと思う。原油高の功罪を論じている余裕はないはずだ。