2008年1月9日
昨日はロンドンのオープニングで865ドルから875ドルへ急騰。さらにNY時間で880ドル台を突破。取引時間を延長した東工取がいきなりショートの逆をつかれ、ストップロスがヒットされる展開。いわゆるショートカバーである。ここまでくると、コールオプションを売ってきた連中も心中穏やかではない。ただ、こうなるとショートカバーだろうが新規買いだろうが、金価格880ドルという数字が既成事実として独り歩きを始める。メディアには、その数字しか出ない。
潮流としては、世界の金融市場全体が"陰の極"におちいり、質への逃避マネーが米国債(10年もの3.82%)と金に集中する構造が続く。今月末のFOMCの利下げ観測も0.5%幅が織り込まれつつあり、これも金利を生まない金には追い風。金利低下、ドル安、インフレ懸念、質への逃避のクワッド エンジンで金価格は成層圏を脱出した。
NY株は、引け際20分前になって、いきなり200ドル超のダウ急落。AT&TのCEOの"販売軟調"の一言がきっかけ。本当にマーケットが神経過敏症状を見せている。米住宅金融大手カントリーワイドには再び破産の噂。その株価は一日で28%もの下げ。ハンパではない。聞かれる言葉はdefensive、defensive...。不安係数は高まるばかり。
金価格の上昇幅もリスクプレミアムを素直に反映した数字であろう。金ETF残高は777トンとセブン並びのフィーバーだね。NY金先物残高は46.8トン増えて620.3トン。過去最高水準とはいえ、新雪雪崩の兆しが感じられない。新雪が北海道のサラサラの粉雪ではなく、上越の重い湿雪なのだよ。Stickyというかネバネバした感触で、当分、居座りそうな買いポジションに見える。新規参入が急増しているなかで、過去の経験則はアテにならない。700トンとか800トンに増えて、初めて雪崩警報発令になるのではないだろうか。
とにかく筆者は、頭の中のハードディスクをdelete(消去)して、過去の相場の記憶を抹消するように努めている。
為替はドルユーロが1.47のドル安気味。ドル円は109円で蚊帳の外。円を売ってドルを買いたい実需筋も多いようで。その結果、円建て金価格は、海外金高をモロに受ける展開だ。