豊島逸夫の手帖

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一夜明けて

2008年1月24日

NY株はいきなりダウ300ドル近く急落後、終わってみれば262ドル高。
それに呼応してドル円も瞬間的に105円割れたのち、終わってみれば106.50。

債券市場は10年もの米国債利回りが3.3%台まで買いこまれた後、終わってみれば3.5%。

昨日のバーナンキ医師による緊急手術。サブプライム性進行がんの転移には成功したか?患者はまだ麻酔から覚めず。家族が心配気に待合室で見守る。

その中でも、ダウ反発のきっかけになったのは、NY州がbond insurers(債券保証会社)救済のため、銀行団に500億ドルの奉加帳を回したとの報道。銀行にそんな余裕あるのと懐疑論も強いが、藁にもすがる思いのマーケットは とりあえず素直に歓迎。

さて、金市場はといえば、890ドル近辺でのもみ合い。商品分野全体では原油を筆頭に、リスクマネー撤退モードだが、マネーとしての二面性を持つ金は、resilient(しぶとい)。経済減速がテーマだが、実需減退を見る商品と、金融緩和(金利低下)を見る金とでは反応に温度差あり。

2008年 主要国経済成長率予測(おおまかな数字だよ)
  2007年  2008年
米国   2.8% → 1.0%
EU     2.7% → 1.0%
日本   1.9% → 1.0%
中国   11.5% → 8.9%

"景気減速"という言葉を数字で表すとこんな塩梅かな、という程度に見てほしい。それでも、だいぶ実感が湧くでしょ。

最後に、今日の気になるニュース。
米国財政赤字2008年拡大。560億ドル増えて2190億ドル。しかも、減税などの緊急経済対策とか中東関連戦費は含まれず。米国の団塊の世代もいよいよリタイア開始。健康保険支払い急増は必至。しばらく忘れられていた"双子の赤字"という言葉が、また復活か。

なお、明日(25日)のテレビ東京ニュースマーケットイレブンに生出演して、金価格動向について"大胆発言"します。前回出演のときは前日NY株暴落があって1週間飛んだから、確定とはいえないけどね。

それから、今週末のWGCセミナー大阪(27日)は、もう締切りました。立ち見でもなんとか、という熱心な方々もおられましたが、アルバイトの受付にそこまでコントロールも出来ず。それに、丸ビルの立ち見騒動で懲りました。もうお詫びから始める講演なんて、こりごりです。

2008年