豊島逸夫の手帖

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"救世主"バフェットと日本勢の違い

2008年9月26日

バフェットは うまく立ち回ったね。ゴールドマンサックスに5000億円を出資したけど、ポンと出したわけではなかった。配当はなんと10%。それからGSから縁切り話を持ちだした場合には、時価の10%上乗せで株を引き取るという手切れ金約束付き。うーむ、さすが"海千山千"の投資王。転んでもタダでは起きない備えだけは怠らなかったねぇ。

それに比べて日本勢は?日本人預金者、投資家から預かった資金を大量に抱え、めぼしい運用先もなかったところゆえ"渡りに舟"。バブル後に撤退した国際舞台にカムバックするまたとないチャンス。"24時間で決めた"という。

さーて、日本人の銀行屋さんや株屋さんが、"海千山千"の欧米投資銀行マンを、英語を駆使してどこまで使いこなせるか。あるいはNY、ロンドンの株主総会、取締役会のディベートで、どこまで自己主張して相手をやりまかせられるか。サッカーでもオリンピックでも、アウエーのゲームには特に弱い日本人のDNAが心配。でも、ほんと、応援してますよ。頑張れ!

昨日、ブルームバーグの生出演後、顔なじみの記者さんたちに囲まれ話し込んでしまったのだが、やっぱり話題は米国金融危機の公的救済。これから不良債権に値段がついて、いよいよ被害の実態が明らかになるわけで、ヘッジファンドは相当悲惨な状況になりそう。

とにかくマーケットではliquidity=流動性が不足というか皆無に近い状態も珍しくない(金市場とて例外ではないよ)。そこに被害の実態を数字で突きつけられたファンド出資者たちが一斉に解約に押しかけても、返済しようにもキャッシュが絶対的に不足する。金市場にも追い詰められたファンドの、なりふり構わぬ換金売りの余波が押し寄せよう。もう既に大量の手仕舞い売りは出たが、まだ、なにもせずに踏ん張って、mark-to-market=時価評価による損失を出していないところも多いのだよ。いいですか、"時価評価"というのは売れる市場あってのこと。そこで価格がついてからの話なのですよ。

なお、昨日の発言要旨は以下で見られます。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=email_japan&refer=jp_commodity&sid=avdMAajoaRCE


さてさて、来週月、火曜日は、京都にて世界最大の金国際会議が開催されるので、世界中から500名近い金関係者が大集合。主催はLBMA(London Bullion Market Association=ロンドン金地金協会)。今、日本の新聞の社会面を賑わせている"ロコ ロンドン商法"に名前を使われたロンドン渡し金取引の本家本元みたいな組織なのだ。

すでに筆者も来日第一波に直撃され、ジェフズ トラベルの京都観光案内担当みたいになってしまった。自分の英語講演原稿もまだ書いてないので、ロンドンの事務局からは、やいのやいのの催促メールが連日入るし、"もう勘弁してほしい"。

友人のディーラー氏がブログに書いていたこと見て笑ってしまった。"成田から京都までタクシーで幾ら"と聞かれて唖然としたとか。"ほっとけ"と言いたくなるよね!

2008年