2008年3月7日
4日のエアポケット、5日の急上昇、高度回復、そして6日は乱気流に巻き込まれ降下後、再上昇。いやはや、シートベルトをきつめに低く締めていないと 乗り物酔いしそうなフライトだね。
1000ドルの壁を前に、跳ね返されながら、徐々に下値を切り上げてきている状態である。今日は、色々図を使って説明してみよう。
まず、下の図は、金価格の中期的方向性を示している。商品としての需給はだぶつき、弱い材料だが、マネーとしての需要は、FRB利下げ、ドル安、サブプライム信用不安(質への逃避)、原油高、インフレ懸念などで強い材料。この二面の綱引き状態となる。
次の図は、金価格をバブルっぽい部分(投機マネーの新雪で雪崩の危険あり)と、バブルではない実需に支えられた部分に分けて、その境界線が長期的に徐々に切り上がっていることを示す。4年前は500ドルなど高値と見なされ買い控え。400ドルが需給均衡点であった。それが、現在はGFMSによれば850ドル程度まで実需が買い上がって来ている。ただ、900ドル以上となると、まだまだ買い控え。しかし、最近の傾向は、"金価格そう下がらず"と割り切って高値慣れも早い。4年後の需給均衡点が1200ドルに切り上がっても全く不思議ではない。ここでのポイントはカルパースなどの年金基金、そして政府系ファンド(SWF)の商品(コモディティー)セクター参入である。いずれも長期保有という足の長いマネーなので相場の底上げ要因となる。
そのSWFの動きを描いたのが、"政府系ファンドの来襲"と銘打ったロンドン エコノミスト誌の表紙である(著作権の関係で表紙イラストは割愛)。何機ものヘリコプターが、サブプライムに汚染された地域の救済に、お金(金塊)を搬入中という図である。さらに、この図を深読みすると、欧米におカネを貸す担保に、欧米保有の金塊を差し押さえ、とも読めるね。欧米各国の対外準備資産に占める金の割合は40-50%、対して、アジア、中東、ロシアの同比率は数パーセント。グローバルな金(ゴールド)の流れは、西から東へというトレンドを連想させる。
1000ドルを前に、今一度、冷静に大きな流れを見直しましょう。