豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. シティーで人気の不倫サイト
Page609

シティーで人気の不倫サイト

2008年12月15日

先週金曜日の日本時間昼過ぎに報じられたビッグスリー救済案議会決裂のニュースは、貴金属市場をも直撃。筆者も、大量の失業を伴う問題ゆえ、土壇場で妥協が図られると思っていたので、想定外のシナリオだった。自動車産業と一連托生のプラチナが売り込まれ、ついにゴールドとの価格差が逆転。

金曜夜のNY株も異様な雰囲気の中で開けたが、結局、ブッシュが金融安定化資金をビッグスリー救済に廻すという、本来の趣旨からは外れた"禁じ手"を使う方向で、結局政治的決着が図られそう。ただし、いずれにせよ新政権稼働開始までのつなぎ融資であるから、問題の先送りに過ぎない。この行方が2009年1-3月期には最大の要因となりそうだ。

そして円高の進行。外為専門家の目先予想が80円でほぼ一致しているので "へそまがり"な筆者は、そこまで行かず(現在は円高のピーク)と予測。外為市場関係者のほぼ全員が同方向を向くと、まずその通りにはならない。結局、プロはドル売り、円買いのポジションを作った上で、ポジショントークしているのだよね。かく言う筆者もディラー時代には同じことしていたが...。ドルを買い戻し(円を売り戻し)て利益確定するときには、自分からは動かずに、顧客のドル売り、円買い注文を黙って受けるだけ。

さて、冷たい雨降る日曜の午後は、自宅に御籠りで溜まりに溜まった新聞、雑誌などを拾い読み。一番笑えたのが、フィナンシャルタイムズ現役女性記者の不倫サイト体験記。Lucy Kellaway女史が書くコラムで、いきなり"私はこの一カ月で247人の男性をナンパしたわ"と"衝撃の告白"。

欧米には研究員とか記者が"自己啓発"という錦の御旗の下で1カ月間程度の長期休暇を取れるサバティカルという制度がある。彼女は、本執筆のためにサバティカル休暇に入ったのだが、そこで不倫サイトにはまってしまったと言う。

Illicit Encounterという高級不倫サイトは"23万人の会員を持つトルコ風呂のような処=A Turkish bath of a place"である。そこで彼女は特異な傾向を察知した。まず、金融関係者が非常に多いこと。そして、とくに在ロンドンの金融関係者が9月の金融危機ぼっ発以来300%も急増したこと。そこから導かれた結論は、マーケットが冷えると、この種のサイトがホットになるという法則であった。

なお、そこで彼女が、なんと昔の同僚にもバーチャル遭遇する。そういうバツの悪い出会いのとき、どう言い繕うかという"エチケット"を私は知らなくて、とぎまぎしたわ、とのこと。

プロのジャーナリストの彼女は、そこで専門家に、なぜ不況になると不倫サイト会員が増えるか、の理由を尋ねた。ハーバートビジネススクール教授氏は、"不況になると、皆、hug=ハッグを求めるのさ。配偶者に知られたら困るというリスクがたまらないのでもあろう。リスクに慣れきった金融関係者が、いまや職場ではリスク回避を強いられている。そこで、不倫サイトにリスクを求める行動に出るのでは。"

最後に彼女の結論。
1.現役で働いている人たちが日中、実はネットを見る時間が十分にあること。
2.人間はうそつきであるということ。年齢,容姿、性格などをまず偽る。
3.この種の行動には男性の方が圧倒的に興味を示す。従って男性会員の会費は2万円弱。女性はタダ。
"私は247人と出会ったので、まんざらではない数字とひそかに自負していたのだが、私の女性の友人が試したら、1週間で295名だって...。"と締めくくっている。

英語に自信ある人は フィナンシャルタイムズの彼女のページ(下記)へどうぞ。
www.ft.com/kellaway

2008年