2008年6月12日
オイルマネーや政府系ファンドがサブプライム汚染地域から比較的汚染度の低いアジアに流れている現象は本欄で語ってきたことだが、イランは別の理由で外国資産を欧州からアジアへシフトさせている。経済制裁回避である。
"イランは資産の一部を外国為替から実物資産の金や株式へ振り替えた。安全性の余裕度を増すためである。" これはイラン経済問題担当副外務大臣が地元メディアに語った発言である。
同国の外貨準備は2007年時点で760億ドルと言われる。その一部を金や株へシフトさせたという公的発言はこれが初めてである。同氏は"資産凍結の恐れがあるので、欧州系銀行への預金は最小限に抑えられている"とも語っている。
欧州系銀行の本音は中東との取引チャンネルを完全にシャットアウトしたくないのだが、一方で、米国主導の国連経済制裁に対する外交的配慮も必要である。グローバルなマネーの流れが、西から東へ、という現象も多様化している。