豊島逸夫の手帖

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トリプル安で金続騰

2008年7月14日

金曜日の国際金価格の動きは、めまぐるしかった。極東時間帯には一時942ドル近辺まで売り込まれたものの、欧州時間からはジリジリ上昇。NY寄り付き直前には960ドルを突破し、ストップロスがヒットされて一挙に967ドル近辺まで急騰。やはり米国住宅金融公社の信用不安が効いていることが確認された。NY午後の時間帯になってロイター電がFRB特融措置をファニーメイ、フレディーマックにも拡大対象に、との報道が流れると、安心感からNY株は戻し、金は売られる局面もあったから。その後、同報道がFRBによって実質否定されるとNY株は再び下げ金は戻すという具合だ。

米国金融不安により、信用リスクを嫌ったマネーの質への逃避買いが金に流入していることを表わす典型的な症状でもある。ドル安、原油高(インフレ懸念)も加わり、これまで金価格を上昇させてきた3大要因が揃い踏みの様相となった。

週末にかけてベアスタの時のように現地日曜夜の劇的な動きがあるかなと注目しているが、今のところ何も出てきていない。(極東時間朝6時現在だが...。)

筆者が驚いたのは、NYの金ETF残高が、木曜の819トンから週末には864トンに急増していること。先物含めNYは買い、対して新興国側は一貫して売りである。
950ドルの強い上値抵抗線をあっさり越えたことで、相場は新たな局面に入った。米国金融市場は引き続き"陰の極"でトリプル安。金、原油だけが値を飛ばすという、一般投資家にとってはあまり有り難くないシナリオでもある。

さて、筆者は週末から中国、山東省 青島に居る。今日明日と今や南アを抜き生産量世界一になった中国金鉱山業界の中心地山東省を訪れる。これまであまり情報のなかった中国金市場の川上(生産面)をじっくり見てくるつもりである。そういうわけで多分明日の更新はお休みとなります。

2008年