2008年2月1日
25bp(0.25%)だ50bp(0.50%)だ、はたまた見送りだと前評判だけは大騒ぎで、蓋を開けてみれば、マーケットのコンセンサスどおりの50bp追加利下げ。織り込み済み。材料出尽くし感。NY株などは、モノライン格下げ報道で、あっという間に50bpのインパクトも飛んでしまった。金市場も結局920ドル台を確信するに終わった形。50bpを見込んでの上での事前急騰だったから、それを追認するに留まったわけだろう。
今朝はいわゆるモーニングアフター。狂乱の夜が明け、夜明けのコーヒーという気分である。
さて、今後の注目点はFRBの利下げに各国中銀が追随、あるいは協調するか否か。カナダ中銀はすでに先週25bp利下げ済。それから、ドルペッグの国々の中銀は連動して利下げせざるを得ない。
しかし、問題はECBであるよ。トリシェ総裁は"中銀の責任はインフレ期待を鎮めることにあり"とのコメント。サブプライム発のリセッションをモロに受けつつある米国と、まだ物価上昇の賃金への波及を恐れる欧州では、かなりの皮膚感覚の温度差がある。
皮肉だったのは、22日のFRB緊急利下げのきっかけとなったのが前日(米国休場日)の欧州株式急落であったこと。欧州経済を心配してFRBが利下げした格好になった。それも、ウワサでは、ソシエテジェネラル社のトレーダーが引き起こした巨額損失の穴埋めのために、大量の株式が処分売りされたことが引き金という。
今後の展開としては、BOE(イングランド銀行)は2月の理事会で利下げ決定が濃厚。ECBも夏までには"リカちゃん"効果(→page418参照)で米国景気減退に連動は必至。となれば利下げに踏み切らざるを得ないだろうとの見方が優勢。
問題は、その間の6か月であるよ。ユーロ金利4%、ドル金利3%(あるいは2%台も)。この金利差逆転でユーロ高、ドル安はさらに加速。1.4850まできたが1.50の大台突破は時間の問題。そうなるとドルの代替通貨としての金買いに拍車かかることも必定。
わがBOJだって、利下げ転換の気配が感じられる有様。日米欧三極同時利下げモードとなりそうな雰囲気ではある。
しかし、気をつけるべきは、仮にサブプライムが一巡すれば、FRBも金融政策優先順位を原油高インフレ懸念=利上げに転じる可能性。これは金には売り材料となりうる。インフレ懸念はアナリスト的に見れば長期の金買い要因だが、ディーラー的に見れば、金利上昇という短期の売り要因なのだ。
さらに話がややこしくなるのは、ドル安が進行すると米国への資金流入が急減する。これはドル金利急騰要因となる。それがリセッションの崖っぷちに立つ米国経済を背中から押し、とどめの一撃になりかねない。その危機感が臨界点に達したところで、本格的な国際協調に各国が動くことになろう。
こう見てくると、今年のマーケットのキーワードは"金利"ということになりそう。とくに金利差でマネーの動きが増幅され、外為市場が乱高下し、金にも影響を与えるというシナリオを頭にインプットしておこう。
さて、アンコールセミナーは応募が定員を遙かに超えてしまいました。どうもWGCセミナーをやると、史上最高値更新が事前に起こるという巡り合わせ。会場もなかなか大きな器の空きがない。となれば回数増やすしかない。ということで、2月29日にもWGC主催セミナーを開催すべく計画中です。
なお、前回の立ち見騒動に懲りて、今回は定員きっかりにしか受講票を発送しません。その結果、当日欠席の空席が出てもやむなしとの判断です。