豊島逸夫の手帖

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北京からのゴールドレポート

2008年10月29日

昨晩のNY株は、またまた引け前一時間で激動。ダウ800を越す急騰で終えた。その前は、消費者信頼感指数が、あまりに酷かったのだが。(9月の61に対し、10月が、なんと38! 事前予想の52を大きく下回る。覚悟はしていたけどこんなに悪いのだ、というショックがマーケットに走った。)

このダウ急騰は、基本的には、ベアー マーケット ラリー(下げ相場の一時的あや戻し)とクールに受け止められている。それでもVIX(市場の不安指数)は一時80以上という、とんでもない水準に暴騰していたのが、昨晩は66まで下がった。とはいえ、これまでは30超えると不安相場と言われたほどで、66という絶対値は依然非常に高い水準だ。

外為では、案の定、ユーロの巻き返し、円の反落が顕在化した。金は750ドル台維持。円安の分だけ円建て金価格は高くなる。神様が下さった円高(円建て金価格の値ごろ感)のクリスマスプレゼントがクリスマスまで続くかなぁ...。

中期的流れで見ると、先週金曜日の号外版にクライマックスと書いたが、そんな展開になってきているね。今日はいよいよFOMC。そして明日は米国GDP。正念場である。

さて、今日は中国の庶民的な地金商とか宝飾店を視察。昨日は人民銀行と話した。中国人投資家というのは、相場が上がれば、それ行けドンドンと乗ってくるタイプと、じっくり押し目を拾うバーゲンハンティングのタイプと両方いるから、市場にtwo-way=売りも買いも両方の流動性が出ることが強みだね。上げ相場が続いたときも中国は唯一、前年同期比10%以上の金需要増加を記録してきた。とくに投資需要の伸びが目覚しい。それも金解禁後、まだ1年ほどの話だから、中国の材料はまだまだ"若い"ことも確認。

マクロ経済に関しては、財政黒字で景気浮揚のための財政出動の余裕があり、金融政策の利下げ余地も大きい。政策ツールの懐が深いね。懸念していたインフレも落ち着き、かなり大胆な内需振興策と講じる余裕があると感じた。9%を大きく割り込む"バブル崩壊"みたいなシナリオも流れるが、冷静に分析すると、その可能性は低い。サブプライム汚染度も日本よりも、さらに低いからね。

今日はうちの北京上海スタッフたちからじっくり実態のヒヤリングもする予定。
まぁ、色々なみやげ話を、昨日本欄で発表したWGC緊急セミナー(11月16日)でたっぷり語ります。

2008年