豊島逸夫の手帖

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金価格続騰

2008年5月21日

国際金価格は920ドル台まで急騰。900ドルを超えて大きくは上がらずと見ていた筆者の予想を上回る急ピッチの展開。昨年からのWGC単独主催セミナー過去4回とも、直前に新高値更新という"実績"があるのだが、今回もその"ジンクス"が勝ったかな...。

昨晩の材料は。

―米国PPI(卸売物価指数)が0.2%の上昇を示したが、マーケットが驚いたのはコア(エネルギー、食品を除く)の部分が倍の0.4%の急上昇ということ。普通ならコアが0.2%、エネルギー食品を入れて0.4%というところを、逆の数字に出た。これは、原油、穀物高がついに実態経済に影響が浸透し始めたことを物語る。インフレという言葉にますます現実味が出てきた。

―その原油価格について、カリスマヘッジファンドマネージャー ピケンズ氏が年内150ドルを予測。すでにゴールドマン サックスが同様のレポートを出しているが、それを追認したカタチだ。ちなみに、同氏はこれまで原油をショート(カラ売り)していた。

―ドバイからのレポートでは4月の金販売量17%アップ。5月はそれを上回るとのこと。インドもついに900ドルに徐々に"高値慣れ"しつつある様相。

―ドルも対ユーロで軟調。

―結果、弱気のセンチメントの中でショート(空売り)していたディーラーが損切りの買い戻しに走っている。ストップロスがヒットされ急騰している。

そろそろ原油急騰に比し出遅れた金に値頃感が出てきたようだ。商品市場内での循環物色という様相もあり。

2008年