2008年7月4日
ECBの利上げと米国雇用統計の二大イベントも想定内の結果となりサプライズ無し。既に充分過ぎるくらい織り込んでいた市場は、ドルの買い戻し、金の売り戻しに動く。噂で買ってニュースで売る典型的な例である。
独立記念日前のNY市場は実質半ドン。筆者も日本時間、来週月曜日夜までは解放気分。とはいえ、明日は三菱マテリアル福岡店主催のセミナー。少人数相手に一人で2時間じっくりやります。こういうのが好き。聴衆の反応がじかに伝わってくるから。
さて、平和ボケの日本ではほとんど話題になっていないが、イスラエルとイランの緊張は高まるばかりで、欧米の報道もかなり具体的な内容になっている。
イスラエルからイランへ空爆となると往復3500‐4800キロ。速度の遅い給油機がうろうろしていると、真っ先にイラン側からの標的になりうる。空路も(最も過激な)シリア上空はリスクが高すぎるだろう。かといって、サウジ、トルコ、ヨルダンは外交的配慮で許容するとは思えない。イラク上空となると、現状は米軍が管理しているから、そこでイスラエル機通過を許せば、米国が実質的に支持したことになるから、これもまずいだろう(これが空爆ありえない論の根拠)。
さらに、核関連施設がイラン国内に100以上散在しており、中核は地下にある(重要な施設を3つほど攻撃すれば、実質稼働不能になるとの指摘もあるが)。空爆に使われるのは、F‐151が25機、F‐161が25機、そしてKC‐707給油機団。そして潜水艦からのミサイル射程距離内の核施設もあるという。
そこで、イランサイドの反撃だが、なんといっても、例のホルムズ海峡封鎖。わずか34キロの狭い海峡に日量1700万バレル(世界の海路輸送原油量の40%を占める)。ここが通れなくなれば広大なアラビア半島を通切って紅海経由で、なんと2000キロを運ばねばならぬ。そうなれば、原油200ドルは軽く行くだろうね(だから米国は困る)。
さらに、イラク、レバノンに存在するシーア派の親イラングループも反撃ののろしを上げよう。また、イラン国内でも徐々に臨戦態勢の動きも見える。125000人を擁するイラン革命軍(軍のエリート集団)は、1250万人の志願予備兵軍団も抱える。これが国内7000以上の"基地"に分散駐屯するという。さらに、イラン国内の30の県が、有事に際にはテヘランからの指令を待たずに独自に対応できる"分権化"も進んでいる。
イランとリーマン。2008年第三ラウンドの"大穴"的材料として目が離せない。
最後に7月2日づけに書いた中国"熱銭"急増に対し、中国当局が規制に動いたニュースが今日の日経朝刊国際面に出ている。