豊島逸夫の手帖

Page1470 シリア情勢と原油価格

2013年8月29日

今朝、テレビ朝日のモーニング・バードのシリア情勢特集に出演して、主として、米国同盟軍が軍事介入した場合の日本経済への影響を語りました。

たまたま直前にソシエテ・ジェネラルのレポートで原油価格予測150ドル説を読んでいたので、可能性としては、ガソリン200円も絵空事とはいえないと話しましたが、まぁ、常識的には120ドルがいいとこでしょうね。WTIもブレントもファンド筋の思惑買いは史上最高水準に達していますし。もろもろの要因によるイラク、イラン、ナイジェリア、リビアの生産減も価格は織り込んでいるし。
ちなみに、ソシエテ・ジェネラルの予測は、同盟軍の空爆で125ドル、空爆が原油生産施設損傷のケースで150ドルとしています。
シリアは内戦状態前でも日量40万バレル程度の生産量で、原油生産国としての存在感は薄いし、現状では、実質的に原油輸入国となっています。

しかし、イラク北部の大油田地帯に近いことがリスクなのです。シリアの(イスラム)スンニ派反政府グループは、シリアとイラクの国境をほぼ自由に出入りしているといいます。
イラクの原油生産量は日量300万バレルですから、無視できない規模です。

そして、シリアのアサド政権の実質的後ろ盾役となっているイランの存在もリスクです。
経済制裁で原油輸出はストップ状態ですが、シリア国内の過激派ヒズボラを煽って緊張を高めるかもしれません。イランの核保有問題についての交渉に、シリア軍事介入停止などの条件をからませ、難癖つけてくる可能性もあります。また、シリアの反政府派を支持しているサウジアラビアに対して、サウジ国内の(イスラム)シーア派をたきつけることだってありえます。中東情勢はかくも、政治宗教経済の諸々の要素が複雑に絡み合っているので、昨日の取材でも「中東に平和は来るのでしょうか」と聞かれたとき、「長い葛藤の歴史を考えると、来ないでしょう」と答えました。

米国のシェール革命や、経済が減速する新興国の原油需要減の可能性などで、原油価格はそれほど上がらないはずでしたが、結局110ドルの大台を突破してしまったわけですね。
原油価格の見通しについては、今が、ほぼ天井近いものの、100ドルを切って大きく下げることも考えにくい状況です。

なお、シリア情勢悪化の日本経済へのリスクとして、「安全通貨」円が買われる円高の可能性を指摘しておきました。消費税議論真っ只中の今週に、シリア情勢が激動するという巡り合わせにも困ったものですね。

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