豊島逸夫の手帖

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緩める米国、締める中国

2013年10月24日

米雇用統計(9月分)が22日に発表され、新規雇用者数は事前予測を下回った。更に、9月分には含まれない米財政のもつれに発する雇用減が今後の雇用統計には反映されるだろう。その結果、市場ではハト派とされるイエレン次期FRB議長就任まで先取りするかたちで、「量的緩和縮小」開始時期を来年3月以降と読む見方が主流となりつつある。今年9月には緩和縮小必至と見ていた時期から見れば、執行猶予6ヶ月とでもいおうか。マーケットでは米緩和継続観測が加速している。

しかし、米雇用統計発表の翌日23日のアジア時間帯で、中国メディアが中国人民銀行高官の金融引き締め示唆発言を報道。中国はじめアジア株は下落した。
既に、統計的にも、中国の広義の信用拡大のペースが、今年1-5月の52%(前年同期比)から、足元では20%程度まで急減速している。
更に、中国の大手銀行5行が、今年1-6月期に、221億元(約3560億円)の貸倒損失を計上との報道も流れた。この数字は、前年同期76.5億元の約3倍である。
そこで、米量的緩和継続観測でリスク・オンになりかけた市場のムードが、中国経済懸念により急速に萎んだ。
米雇用統計発表後のドル全面安のなかで、98円台を維持してきた円も、23日の欧州時間に入るや、97円台に急落。リスク・オフ時の円買いの様相である。
NY原油は100ドルの大台を大きく割り込み96ドル台まで急落。雇用統計後急騰した金価格も10ドルほど下げ、1330ドルの水準で伸び悩んでいる。

緩める米国、締める中国の狭間で揺れる市場。
その今後の展開だが、中国人民銀行は6月の上海銀行間取引金利急騰劇の再来が危惧されれば、即、資金供給を実施するだろう。締め過ぎリスクは回避されると思われる。
いっぽう、米FOMCは、雇用・住宅指標に不安要因が根強く残り、早期緩和縮小の可能性は遠のく。
年内は、リスク・オフでリスク資産が売られても、底は浅いと見る所以だ。
但し、中国リスクは来年早々にも悪化の可能性がある。
人民銀行による緊急資金供給で当座の流動性危機は回避できるが、引き締めの実体経済への影響はタイムラグをおいて効いてくるからだ。

さて、今日は、楽しみな対談がふたつ。
まず、シティーのシニア為替アナリストの尾河眞樹さんと為替対談。家族ぐるみのお付き合いが長く、気の置けない会話になりそう。
彼女は、TV東京のモーニング・サテライトのレギュラー・コメンテーターなどで、すっかり売れっ子になりました。家族のことのように嬉しい。いろいろ私も、これまで「マネージャー役」(笑)で、応援してきましたし。
次は、亀井幸一郎と池水雄一の良き後輩と3人のゴールド・プラチナ対談。モデレーターは大橋ひろこさん。本音ぶっちゃけでゆきます。
どちらも、日経マネー掲載になります。

2013年