豊島逸夫の手帖

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株式・商品市場に波及するサイバー戦争

2013年4月25日

「CFTC=米国商品先物委員会が、昨日のAP通信ツイッター偽情報発生後5分間に約定された28の先物契約につき調査開始。ダウ・ジョーンズ通信」

25日、日本時間早朝に、米国CNBCのツイッターで流れた情報だ。
早くも市場では話題になっているが、これもトレーダーのツイッター依存度を示す例である。
通信社のツイッターは第一報のヘッドラインを瞬間的に掴むには、たしかに便利な手段だ。そこで、人間のトレーダーであれば、その情報の真偽を他の情報源で確認する。
しかし、非人間的なコンピューター・プログラムは、そのヘッドラインだけで瞬間的にヘッジのための売り注文を発動する場合もある。特に、今回のように、explosion(爆発)、president (大統領)、injuries(けが)などのキーワードが含まれると、プログラムは自動的に警戒モードとなる。
しかもHFT(高速度取引)ゆえ、瞬間的に値が大きく振れる。

23日ニューヨーク時間午後1時7分のダウ平均株価は14,699。次の瞬間にAPツイッター偽情報が流れ、1800回もリツイートされ、1時9分には14,566まで急落。それがAP通信へのハッカー攻撃と分かるや、1時12分には14,690まで急反騰した。
まさに、市場関係者が肝を冷やした5分間の出来事であった。
このような事象は今後も起こるだろう。
HFTゆえ、トレーダーは今後もソーシャルメディアを情報受信手段として使い続けるだろう。情報の出し手の立場でも、市場への情報発信としては、便利なツールだ。

筆者も、フォロワーへのリアルタイム情報伝達手段として活用している。発信した情報がリツイートされ、波状的に拡散し、情報そのものが独り歩きするプロセスが数分。8000人程度のフォロワーへの情報発信が、最終的には数万から数十万の規模に拡大することもある。当初は「つぶやき」程度の軽い気持ちで始めたが、今では、かなり慎重に「つぶやく」ようになった。
なお、「噂で買ってニュースで売る」のはトレーダーの常套手段だが、23日は「ツイッター情報で売り、事実で買う」事例があったかもしれない。真偽が確認できずとも、「爆発で大統領負傷」というヘッドラインだけで株が売られると読み、とにかく売っておく。偽情報と判明すれば、その時点で買い戻せばよい。戻しといっても急落前の価格水準程度と読めば、損失をこうむるにしても限定的である。

今後も株式・商品・通貨市場はサイバー戦争のリスクにさらされるだろう。
個人投資家にとっても情報の量より質の選択が重要な時代になった。
鳥インフル関係の情報などは、サイバー戦争の標的になるかもしれないから要注意。

さーて、いよいよ連休だね~~
私は、近場で、スキー&ゴルフの連続。今の季節は、午前中ゴルフで、午後は山の上で春スキーとか、スキーの後で桜の花見とかが出来るのだ。遠出しないのは、海外の市場は動いているので、目が離せないから。圏内にいないと。過去にも5月の連休中に海外で大きく動く例が多いのだよね。でも、とにかく、心は早くもウキウキ・ソワソワの遊びモードです。(笑)

2013年