豊島逸夫の手帖

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米財政問題 日本への警鐘

2013年10月1日

オバマ大統領は日本時間1日朝6時(現地時間9月30日午後5時)から演説で政府機関一時閉鎖の国民生活への影響について詳細に述べた。
まず、継続されるのは、社会保障費給付、メディケア(高齢者・障害者への公的医療保険制度)にかかる医療サービス、郵便、国家安全保障・公安維持業務、国を守る軍隊、空港官制、刑務所ガード、国境警備、NASA(但し、宇宙基地の宇宙士へのサポートは継続)
など。なお、給与の遅配はあり得る。
一方、国民生活への悪影響としては、オフィスビル一部閉鎖、退役軍人・高齢者・幼児施設の人員不足、企業の資本調達の支障、建設許可申請やハリケーンからの災害復興業務中断、ヨセミテなどの国立公園、スミソニアン博物館、自由の女神などの閉鎖を挙げた。
更に、連邦政府雇用の200万人、現役軍人140万人のなかの多くは、直ちに無期限に無休休暇となる。(但し、彼らの住宅ローンや教育費は例外扱い)。

かくのごとく庶民や隣人の生活が脅かされることを、オバマ大統領は国民に訴えたわけだ。

もし、日本で同様の政府機関一部停止が生じれば、直ちに世論を巻き込む大議論が展開されよう。先進国中最悪とされる日本の累積財政赤字問題についても、優先順位が「第四の矢」から上がるかもしれない。
そもそも財政再建問題は、国民生活への切迫感が薄いので、先送りされがちだ。例えていえば、糖尿病のようなもので、普段は痛みを感じないので、メタボ生活を続けてしまいがちだが、臨界点を越えると突然壊死や失明などの症状の兆しが顕著になる。
そこで、あえて、国民に痛みを強いることで、財政再建問題についての意識を高める方策も必要かもしれない。
米国の連邦債務上限法なども、まさに、日本に必要な法制と感じる。
マーケットを揺るがせている米国財政問題は、日本人にとっても他人事ではない。

なお、金価格は米国政府機関一部閉鎖へのカウントダウンが始まっても下げて1330ドル台。「オオカミ少年」と見て、タカをくくっているのだね。2011年には米国債格下げがキッカケで金価格が1900ドルを突破して史上最高値をつけたけど。当時と今で決定的な違いは、米国金融政策。2011年は量的緩和最盛期。2013年は量的緩和の出口模索が始まった年。財政問題はたしかに金上昇要因だが、金融政策が足を引っ張り、拮抗状態にある。

昨晩は日経CNBCでNY収録の金特番生放送があったけど、かなり濃いコンテンツだった。NYのベテラン金アナリスト、ミリング・スタンレー氏が金市場をオーソドックスに語り、ジムロジャーズ氏が独自の考えを披露。建前と本音の対比が興味深かった。
10月5日(土)午前10時半と10月6日(日)午後11時と再放送あり。
生放送中にモニター画面見てたけど、ニューヨーク収録ビデオの私のヘア・スタイルは、ぺったんこ(笑)。昨晩のスタジオでのヘアはフックラ。ヘア・スタイリストの技で随分と違うもんだね~年々希少資源化している己の髪の毛をいかに効率的に維持するかが問題だ!!(笑)。
次回は11月初旬に祭礼シーズンのインドに飛ぶ。

そして、今日10月1日は、豊島逸夫事務所開設2周年記念日。
もう、まる2年になるか~早いもんだな~アッという間だったような。
仕事も金関連は全体の半分程度になり、あとの半分は国際経済全般にかかる仕事になってきた。(後輩たちの人生相談も多いけど 笑)。忙しい中、適度に遊びも入れられるのが独立した強み。だから、ストレスはたまらない。楽しみながら充実感のある日々です。

2013年