豊島逸夫の手帖

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金から銀へシフトするインド市場

2013年11月5日

ディワリ(Diwali)とは、5日間にわたり、日本でいえば「正月」と「お盆」が一緒になったような期間です。
ヒンズー教の新年のお祝いで、家族が実家に集い、食べたり、ショッピングしたり、「お歳暮」のようなギフト交換したり。警官の間で上役へのお歳暮合戦が派手になりすぎ、ということで今年は自粛令が出ていました。会社に従業員が集まり、祝賀パーティーで、社長がディワリ・ボーナスを振る舞ったりもします。
5日間の初日がダンテーラスと呼ばれ、特に、買い物をする日なので、業界はかきいれ時。クリスマス・イブみたいな感じですね。
とにかく期間中は買い物することが縁起良いとされているのです。
毎年、新月の日に行われ、大型から家庭用まで様々な花火が打ち上げられ、「光の祭典」となります。深夜になると、花火の煙で町中がもやったような状況になるほどです。ショッピングは、主として、家電などの耐久消費財、そして金や銀製品。
全般的に今年はダーク・ディワリといわれ、売上は伸び悩みました。当日、御徒町みたいな宝飾街を廻りましたが、たしかに賑やかで売れているのですが、昨対では↓でした。

私が注目したのは、シルバーコインや銀製の神様の像のレプリカが飛ぶように売れていたこと。
金のコーナーでは、いかにも富裕層と見える家族連れたちが、低いカウンターごしに、お茶やお菓子つまみながら、時間をかけて大ぶりの金ジュエリーを何個も買っています。

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いっぽう、シルバーのほうは、高いカウンターごしに、入れ替わり立ち代わり、顧客が押し寄せ、買い漁ってゆきます。後ろから覗こうとしても人混みでなかなかカウンターまで辿り着けないので、階段の上から写真撮りました。

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翌日の新聞でも「今年の売れ筋はシルバー」という記事が掲載されていました。
シルバーコインには、おカネの神様が彫られているので、資産性のある縁起物なのですね。

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銀は「貧者の金」といわれるごとく、庶民でも買える貴金属。特に、今年のインドは経済急減速、そして金への輸入規制の影響で、金から銀へシフトしているのです。
もともとインド国内には大量の民間銀ストックもあります。
中国の私が関わっている銀行でもシルバーコインが売れ筋。
新興国に行くと、私はシルバーに関して長期的ブル(強気派)になります。だって、資産性のある縁起物としてそれぞれ13億の人口を抱える二か国の国民が買い漁り、縁起物だから売り戻すことはない。ブラックホールに大量の銀が吸い込まれてゆく印象です。インドと中国が大量の現物銀を買いっぱなしにすると、価格水準は上がってゆきますよね。ただ、NYの先物でその何倍もの売買がなされるので、短期的価格変動は激しいですが。それから、業者間の在庫もまだ積み上がっています。ですから、あくまで長期的に上昇傾向ということですね。

今日は、シルバーについて書きました。
明日以降に、金規制の話について書きます。たまたま滞在中にFTが全頁の記事を「金とインド」というシリーズで流していましたから、一般にも注目されている話題です。
緩和縮小の新興国への影響などマクロの問題は日経電子版「金つぶ」においおい書いてゆきます。(今日はイエレンについて書きましたけど)。

そして、滞在中は食べ物に苦労したというか、殆ど、持参のお稲荷さんと大福ばかり食べてました。カレーは、やっぱりカレーうどんとか、ココイチのカツカレーだよね~食べることには貪欲な私でも、インドは苦手。飲み物も持参の2リットルボトルの十六茶ばかり。でも、現地でビックリするのは、日本人の若い女性でインドにはまって、ついに移住したとか、インド・ファンが多い事。同伴の日経CNBCクルーでも、女性陣のほうが、ヤギの頭とか、えたいのしれない料理をキャーとか言いながらも、シッカリ食べていました。対して、男性陣は腰引け気味(笑)。
それにしても、インドは仕事するには本当にタフな国。全員が消耗しました。
色々な写真を添付しましたが、額にあるのがディワリの女神様、

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カウンターごしに私が女性店員と映っているのは、私が販売員に間違われたとき。

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日焼けして色が黒くて、やせてると、バングラディッシュ人かベトナム人に見られるのだよね。シンガポールの空港の入国審査の列で、居住者はこっちだよ、とか言われたこともあります(笑)。

2013年