2013年5月30日
ダウ工業株30種平均が106ドル下げて引けた後のNY市場では、日本株への連鎖を懸念する声が聞かれた。
史上最高値更新を続けてきた米国株にも、短期的な投機マネーの利益確定売りによる表層雪崩の兆しが見られる。
更に、米株式市場でおこる表層雪崩は、日本株にも連鎖するので、下げの共振現象を引き起こす。
米系ヘッジファンドの「日本株買い、円売り、金売り」ポジションの巻き戻しも既に始まっている。
問題は、表層雪崩のあとに残る根雪の水準だ。
米国では、バフェット氏などの影響でオーソドックスな長期投資派が育っているので、根雪も深い。
しかし、日本では、短期的売買によるキャピタルゲイン狙いの株式投資が依然多く、長期投資派が未だ発展途上ゆえ、根雪が浅い。
とはいえ、今回のアベノミクス相場に関しては、安倍政権の政策支持率が7割近くを維持している。そこで問われるのが、この支持率の「本気度」だ。今回のアベノミクス相場が持続するか否かは、下げ局面における日本人投資家の「胆力」次第ともいえる。
29日のNY株下落には、FRBの出口戦略予測による米長期金利上昇傾向がジワリと効いている。しかし、日銀は「入口」戦略を始めたばかりだ。米国株と日本株の「デカップリング=非連動」現象が生じても不思議はない市場環境といえる。
投機マネーの表層雪崩は共振現象を起こしがちゆえ、短期的な「連動」は不可避だが、最終的な下げの深度を決めるのは、アベノミクスへの「支持率」より「信頼度」であろう。
そのためには、国民そして市場を納得させる「成長戦略」実施のスピード感が重要だ。
米国株上昇に変調の兆しが見られるゆえ、事態は切迫している。
6月相場は、ヘッジファンドの日本株買い円売りポジション巻き戻しと、日本の成長戦略展開のせめぎ合いの様相となりそうだ。
金は先物売りポジションが大量に蓄積しているので、潜在的買戻しエネルギーはマグマのごとく溜まっている。早晩、ショートカバーラリー(買戻し局面)があるだろう。問題は、そのあとの新規フォロー買いが出るか否か。6月7日発表の雇用統計が大きなカギとなりそう。