豊島逸夫の手帖

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インドの宝飾街の表裏

2013年11月6日

今日は、ニューデリーの御徒町のような宝飾街で撮った写真をいろいろ貼ります。
表通りには、いかにもインド的な宝飾店が並びます。

1512a.jpg1512b.jpgしかし、一歩裏通りに入ると、古いビルが並び、そこに、3万人ともいわれる宝飾職人が、狭い製造工房でひしめくように働いているのです。

1512c.jpg1512d.jpg1512e.jpg1512f.jpg3万人といっても人口12億人の国では、大した人数ではありません。
よく町工場と日本語でいいますが、そこは、色々な宝飾製造過程の職人が一区域に集まり、その集合体がひとつの宝飾製造工場みたいになっているので、工場町とでもいいましょうか。
そこで製造された製品が、直ぐ近くの表通りの華やかな宝飾店で売られているわけです。

1512g.jpg1512h.jpgそこで使われている金地金は、さまざまな供給ルートを経てくるわけですが、混沌とした「工場町」ですから、果たして、それが、正規ルートなのか密輸なのか、分かりません。
しかし、10%もの正規の関税を払って競争力ある製品が出来るかといえば、疑問点がつきます。
当局も、インド人の金に対する文化的愛着まで規制することは出来ません。
シルバーが売れていることを昨日書きましたが、ゴールドも高額品を中心に一定の需要は保たれています。
滞在中に見た新聞記事の中に、今日載せた「GOLD RUSH」という見出しもありました。

1512i.jpg何人もの女性にインタビューして、ディワリで買うものと聞けば、「娘のためにゴールド・ジュエリー買うわ。我が家の長年のしきたりですもの」「今日だけは、うちの旦那がクレジットカード使わせてくれるの。まず、前から目を付けていた金のネックレス買うわ」「夫と一緒にシルバーやゴールドのコインを買うの。一緒にショッピングすることが、愛情の印だし、家内繁盛、幸運をもたらすと信じられているのよ。」「ディワリは光の祭典だから、金や銀で出来たランプを買って、明るい夜を過ごすの。」などなど。

結局、インド当局が規制しても、インド人の金銀選好は変わりませんが、懐は厳しくなっているので、その量が減り、安い銀のほうが多くなる、と言う現状なのです。
現地の新聞社が実施した消費者調査でも、「昨年のディワリより、消費額は減った」「過去10年間で最悪」「失職が怖い」「でも何があっても子供へのギフトは減らさない」などの答えが、それぞれ60%を超えていました。
なお、ディワリの祭礼需要と、結婚式のブライダル需要は、別のものです。インドの金需要は、祭礼と婚礼と二つのコアがあるわけです。
更に、銀行経由で販売される金地金なども別のカテゴリーで、いわゆる投資需要になります。この部分は、金好きを憚らないインド人でも、語りたがりません。店頭でも、撮影は禁止です。資産を持っていることを知られたくない、と言う意識が強く働いています。

2013年