豊島逸夫の手帖

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おひとり様高齢者向けレンタル家族

2013年10月29日

切ない話ではある。配偶者の死去、熟年離婚などで「おひとりさま」生活をおくる高齢者が急増している。そこから派生する新ビジネスとして「レンタル家族」が有望という。女性二人組が派遣され、家事・食事そして特に「会話」の相手になるという高齢者向けサービスである。殆ど孫に近い世代の派遣女性たちは、敢えて「為言葉」を使い、祖父母世代の「顧客」に「呼び捨て」で語りかける。顧客も、そこに亡き妻のイメージをだぶらせ、家族間の親近感を感じている。

テレビ画面に映る「おひとりさま」後期高齢者が本音を切々と語る姿を見ると、「2週間も他人との会話がない」寂寥感がヒシヒシ伝わってくる。
筆者のセミナーでも、近年、参加者層が祖父母世代と30代男女に二極化している。
そこで、質疑応答になり、挙手して語り出すのは、やはり高齢者が多い。質問というより自分の話を聞いてほしいとばかりの「演説」に近い。話し出すと止まらないので司会者泣かせの現象でもある。

ちなみに、レンタル家族の料金は2時間で1万円程度のようだ。
1500兆円を超える個人金融資産の6割以上を保有する世代ゆえ、週に1回の「贅沢」としては、バリュー(価値)ある料金設定なのだろうか。身よりのない立場であれば、「墓場に持ってゆく」より「残りの人生で使いきる」という選択肢をまず考えるのかもしれない。

会話がないと、認知症発症率も高いとのことゆえ、ボケ防止のための頭の体操として「投資」をするのもよかろう。しかし、悪徳業者のターゲットにもなりやすいので、信頼できるアドバイザーがいれば安心だ。たとえば、独立系のFP(フィナンシャル・プラナー)などの投資ナビゲーターの助言があれば、無茶な投資(というより投機)は回避できると思う。
ただ、レンタル家族にフィーを払う人でも、FPへのフィー支払はためらう人が多い。投資助言などは、銀行・証券会社などの無料サービス業務の一部と位置づけられるのだ。
筆者の周辺にもFPは多いが、投資助言業務だけで食ってゆけるFPは殆どいない。結局、なんらかの商品を売るためのセールス・チームに実質的に組み込まれている。
おひとりさま高齢者の話からFPの話になってしまったが、高齢者の投資は、おカネを持っている世代ゆえのむずかしさを感じる。

さて、昨日は女優の村井美樹さんと対談。渋谷駅近くの裏通りにある古いビルの中の貸しスタジオ。狭くて、階段がハシゴみたいに急で狭かった。撮影関連機材を持ち上げるだけで一苦労していたみたい。写真では、広い部屋に見えるから不思議だね。

1507.jpg村井さんとは以前朝日新聞で対談したけど、今回は日経。クイズ番組でも活躍するだけあって、聡明なお嬢さん。若い女性の目線で考える「投資」について語り合った。

そのあとは、ミッドタウンの虎屋で打ち合わせ。季節限定の栗粉餅がゆけるね~。

2013年