豊島逸夫の手帖

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アップル 幻の新製品『i ウオッチ』

2013年2月13日

12日、サンフランシスコにて開催されたハイテク関連フォーラム(主催:ゴールドマンサックス)。市場の注目は、アップルCEOティム・クック氏の講演であった。
同氏は、昨日本欄でも書いたように、12日夜のオバマ大統領一般教書演説というビッグ・イベントにファースト・レディーの招待で同席するほどの「時の人」。
8日づけ本欄『アップルの巨額現金退蔵批判、日本への教訓』にて詳述したように、12兆円を超す内部留保を優先株発行で株主に還元せよ、と著名ヘッジファンドで「もの言う株主」の代表格アインホーン氏から提訴されている。
これに対する反論が特に市場では注目されたわけだが、答えは、「はっきり言って、silly=馬鹿げた座興。(訴訟費用を)チャリティーに寄付したほうがマシだ。」と一蹴するコメント。
アインホーン氏は米国経済テレビ局でのインタビューで「有事に備え巨額の現金を貯めこむなど、大恐慌時代のトラウマ。」と語った経緯もあり、舌戦に近い様相になってきた。
「アップルは世界で最大の貯金箱」などと皮肉るコメントも聞かれる。

もうひとつ、市場が期待した「新製品」に関する具体的情報への言及もなかった。米国メディアでは「スマートフォンに近い機能を備えた腕時計型の新機器」の「i ウオッチ」を開発中では、との観測も流れていた。
しかし、アップル流の「秘密主義」が変わることはなかった。新製品発表の際に、事前にベールに包み、ローンチング時のデモンストレーション効果を高める手法はマーケティングの常套手段だ。
しかし、低迷を続ける株主は「情報の透明性」を求め、焦れている。
結局12日のアップル株価は前日比12.03ドル安(マイナス2.51%)の467.90ドルへ下落した。

そもそも、時価総額世界一の座を争うほどに成長したアップル社は「成熟企業」への変身を余儀なくされつつある。
しかし、「成熟化」したアップル社に魅力はない、という株主も多かろう。スティーブ・ジョブズ氏が先頭に立ちIT業界にクリエイティブなイノベーションの新風を吹き込み一躍、良い意味で「市場の暴れ者」になったからこそ魅力ある企業であった。
その会社のCEOが変わり、12兆円を超す内部留保の活用は検討中というが、大型買収や新製品開発を進めている証は公開されない。
450億ドル(約4兆円)を自社株買いや配当で還元することは明言しているが、多くのアップル株主は、堅実な配当収入もさることながら、やはり、将来の夢を託す「成長株」としてアップル株を保有している。
ここに巨大化した成長企業のジレンマを見る。
まずは、株主に対しての情報透明性を高めることが求められよう。
内部留保を活用しての企業買収も、これまではブティーク的な特色を持つ中小企業を主たるターゲットとしてきたが、市場をアッと言わせる大型案件は本当に無いのだろうか。
そして「i ウオッチ」などの新製品開発の真相はどうなのか。
見果てぬ夢を追うのも投資家の性(さが)のようだ。

さて、金価格はデッド・クロスが懸念されています。200日移動平均線を50日移動平均線が下に突き抜ける現象です。
200日移動平均線は1660ドル近辺。
50日移動平均線は1670ドル近辺。
これが抜けると、1600ドル割れも視野に入ります。昨日のNY市場では1650ドル台をなんとか維持しました。
なお、G20緊急声明が、円安容認か円安警告か、解釈が割れ、結局93円台へ円高に振れています。
そろそろ円建て金価格連騰のモメンタムも萎えてきた感じ。
これだけ短期間で上がれば、もう十分なんじゃないかな。
週末のG20財務相・中央銀行総裁会議では「最大の議題」が円安・アベノミクスになる模様。
日本経済も注目されるようになりましたね。というか、昨晩のG20緊急声明を読むと、「過激な円高は許すまじ」という厳しい監視のもとに置かれた感じかな。

さて、昨日は、木佐彩子さん(元フジテレビアナウンサーで石井投手の奥さん)と朝日新聞の紙上対談をホテル西洋でやってきました。

1353.jpg「笑っていいとも」などでのボケ役のイメージが残るけど、実は、近年はBS朝日の日曜夜に2時間の本格報道番組「いま世界は」でメインキャスターを続けています。
非常に好感もてる人柄でした。
近著の金読本で紹介した金貨アルバムに、一児の母として興味示していたので、実物を見せてあげているのが写真の風景です。
帰国子女でCNNキャスターもやった経験があるので、国際感覚が豊かでしたね。
それから、以前紹介したTBSの深夜30分番組「どっちの投資ショー」のOAが明日深夜の予定。(北朝鮮などのニュースで飛ばなければ)。2時間撮ったのが、どう30分に編集されているのか、興味津々。出演者としてはメチャメチャ楽しかったけどね。通常の報道番組で1時間カメラの前で喋って、1分だけ編集されて流れるというのは、もういい、という感じ。
どうも常に新たな刺激を求める性格のようで(笑)。

2013年