豊島逸夫の手帖

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懐疑に育つ日本株と円安相場

2013年6月4日

「相場は絶望の中で生まれ、懐疑とともに育ち、楽観により熱し、陶酔のうちに終わる」と言われる。
日本株相場と円安相場は、半信半疑の投資家たちの「懐疑」の渦中におかれ、まさに「育ち」ざかりである。
6月はアベノミクス成長戦略が厳しく吟味される時期。下げ止まらない日本株への「懐疑」が強まる段階となる。
外為市場では、製造業指数(ISM)悪化など米国経済不安材料が出れば、円安を加速させていたFRBの量的緩和縮小観測には「懐疑」が生じる。100円割れにより、この懐疑は更に強まり、市場が日本株売りと円買いの試練にさらされると、リスク耐性の弱い投資家は振り落とされ、筋金入りの投資家だけが残り、体脂肪の抜けた筋肉質の相場に育ってゆく。アベノミクス相場は若い。

「成長期」の相場エネルギーはほとばしるような勢いがある。但し、「若い」相場に反抗期はつきもの。その相場エネルギーは短期的に買い・売りの方向性が散り、ボラティリティーが上がる特徴がある。オーバーシュート、アンダーシュートを繰り返しつつ、徐々にレンジの下値を切り上げてゆくものだ。

さて、「売り逃げ」の5月が終わり、3日のニューヨーク市場では、June Swoon(6月は卒倒)などとボラティリティーの高さに対する警戒感が満ちている。アベノミクス前までは話題にも出なかった日本株動向のNY株価への影響も頻繁に議論されるようになった。S&P500株価指数とドルの対円レートの正の連関グラフも注目され、ドル安円高がNY株価の潜在的下げ材料として意識された。しかし、懸念された日本発のリスク連鎖は欧州株には波及したが米国株では3日に関する限りは回避された。それでも、多くの市場関係者が連日現地深夜まで東京市場をフォローしている。日本時間朝9時前後には、筆者のパソコンにニューヨークからのメールが増える。

著名エコノミストのインタビューにも日本関連の質問が定番になった。3日に筆者の目を引いたのは、悲観論を語ることで「恐怖博士」の異名を持つルービ二・ニューヨーク大学教授のインタビュー。
「定番」の日本株安についての意見を聞かれ、なんと、日本経済には楽観的な見通しを示したのだ。アベノミクスが成長戦略を重視していることで構造改革が進む可能性があり、円安が進行することで企業業績も改善しつつあることを評価していた。楽観論に水を差すような予想で知られる人物からの発言だけに意外性があった。

なお、5月31日付け本コラム「円100円割れに身構え金急騰」に円高先行指標としての金価格の動きについて言及したが、3日のニューヨーク金価格は、前週比18.9ドル高の1411.9ドルまで急騰して引けた。

なお、プラチナが、またぞろ労使間紛争で死者まで出たということで1490ドル台まで上昇。相変わらず、供給サイドは不安定。だけれども、材料としては、いつも言ってるように(そして、そうなってるように)一過性。欧州・中国経済が本格的に改善して需要サイドから上がるようになれば、安心して薦められるのだけどね。

さーて、6月。
我が家では週末に庭の梅の実を収穫しました。大豊作でなんと30キロ。これを自家製梅干しと梅酒と梅ジャムにします。
よく英語でlow hanging fruits(低い実から摘む)という表現で、政治などでやさしい問題から手を付けて解決する、という意味に使われるけれど、その意味を実感したよ。(笑)
そして、平戸からは、旬のウニの瓶詰が届きました。

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家族が潜ってとったウニをお母さん手作りとのこと。心のこもった味だ。これと炊き立てご飯あれば、あとはなにもいらない。日本人で良かったと思える至福のとき。
北海道の積丹半島のウニもそろそろ季節かな~昨年は行けなかったけど今年は行くぞ~~

2013年