2013年4月11日
為替で99円台にまで円安を加速させたのは、日本発の「円安要因」ではなく米国発の「ドル高要因」であった。
10日に発表された3月のFOMC議事録は、量的緩和継続論がもはや少数派(2名)になっていることを明らかにした。今後は、量的緩和終了の方法論と時期が注目要因となる。
まずは、月850億ドルの国債とMBS(住宅ローン担保証券)を購入して資金供給しているQE3の資産購入額を徐々に減額してゆく。
次にはQE3の停止という段階的出口戦略となろう。その開始時期は、最も早くて、今年夏と見られるが、これは少数派。やはり、年末以降と考えるFOMCメンバーのほうが多いようだ。
なお、バーナンキFRB議長の任期が2014年1月に切れるので、今年後半は、留任か否か、更に後継者人事が大きな要因となりそうだ。
イエレン現FRB副議長後継説が語られるが、従来はハト派であった同女史も、最近は量的緩和に慎重な発言に転じていることが象徴的だ。
いずれにせよ、日米量的緩和競争は、出口を模索するFRBと、入口に立つ日銀の差が鮮明となり、黒田日銀有利の展開である。金利差で動く外為市場では、ドル安の時代の終焉が顕在化している。
NY株も金も「QE依存症」の症状を見せていたが、10日のFOMC議事録発表後、NY株価は下がらず、金は急落して、反応の違いが際立った。
但し、ドル高時代の到来といえど、米ドルが抱合する財政赤字などの構造的赤字体質が改善したわけではなく、相対的金利差で円が売られ、欧州経済懸念からユーロが売られた結果として、消去法でドルが買われた、というのが実態だ。
ドル安なれどドル不安が解消されたわけではない。俯瞰すれば基軸通貨としての米ドルの座が揺らいでいることは事実であり、通貨の王様を欠く「通貨大空位時代」はまだ続きそうだ。