豊島逸夫の手帖

Page1417 「無国籍企業」アップル 租税回避疑惑

2013年5月22日

21日と22日には二つの重要な米国議会証言がある。ひとつはバーナンキFRB議長。そしてアップルのティム・クックCEO。
後者は、税回避疑惑に関する議会の厳しい指摘に答えるためである。
アップル社が、アイルランドのアップル・オペレーションズ・インターナショナルという名目的会社(シェル・カンパニー)に利益を社内移転している、という疑惑である。

議会側は、先手を打ち、日本時間20日早朝に「報告書」を公表。アイルランドに「郵送先住所」を持つ子会社が、2009年から2012年まで、アップル全社利益の3割にあたる299億ドルの配当収入を得ていたが法人税は不払いであると指摘した。更に、日本時間21日朝6時から記者会見を開催して、最年長上院議員レビン氏(民主党)が吠えた。
「米国庶民は真面目に納税しているのに、アップル社は米国内で行われている研究開発の成果としての企業利益の多くをアイルランドで計上している。しかも、アイルランドの関連会社は、税制上、アイルランドの居住者扱いにはなっていない。更に、どこの国の居住者でもない、無国籍企業だ。」

上院調査委員会は、これまで、マイクロソフト社やヒューレット・パッカード社幹部を召喚して米国法人税制の抜け道などについて追及してきたが、今回は明らかにアップル社をやり玉にあげたようだ。
アップル社にしてみれば、1020億ドル(約10兆円)もの海外保有現金を本国へ還流(レパトリ)させれば、税率が35%に達する。そこで、170億ドルもの社債発行による資金調達の道を選択した経緯もある。同社は言い分として、2013年に70億ドル以上を米国内で納税しており、おそらく最大の納税者である、ということを強調している。
好調なNY株の中で、ひときわ苦戦が目立つアップル株が、また新たな問題をかかえたようだ。
17日に筆者がニューヨーク証券取引所のフロアで雑談したときも、アップル社の新商品開発などの材料がしきりに語られていた。

なお、今日明日と日本投資サミットに参加。明日、経済フォーラムでパネルディスカッションと講演します。↓
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