豊島逸夫の手帖

Page1387 黒田日銀へNYトリプル安の洗礼

2013年4月4日

日銀金融政策決定会合結果発表の前夜、ニューヨーク市場は日銀関連とは独立した要因で株安、ドル安、商品安のトリプル安に見舞われた。

まず、米国民間雇用報告(ADP)、ISM非製造業景況感が事前予測を下回り、米国経済回復予測に水を差した。

更に、引け前には、外電で「北朝鮮が米国への核攻撃命令」との報道が流れ、俄かに地政学的リスクが高まった。

そして、FRB内ではハト派とされるサンフランシスコ連銀ウイリアムズ総裁が「今年夏にも量的緩和(QE)縮小」との発言が市場では注目された。QEをtaper off(徐々に縮小)との単語を使っている。3日発表の米国マクロ経済指標悪化とは相反して、米国経済の回復が早まるとの前提に立つ議論だ。しかし、QEによる過剰流動性への依存症の症状が顕著な市場には「下げ要因」と映る。

その結果、NY株価は下落した。

更に、商品市場では、中国の引き締め観測、欧州経済のマイナス成長見通しも嫌気され、原油・金・銅の下げが顕著だ。
そして、外為市場では、米国経済要因でドルが売られ、避難通貨として円が買われる展開になった。
たまたま日銀金融政策決定会合の結果発表前夜に、日本関連以外の要因でトリプル安になったわけだが、これは黒田日銀に「吉」か「凶」か?
世界経済減速の兆しと読めば、日本の「大胆」な金融緩和を正当化する材料と見れる。
しかし、ドル安・円高を誘発しがちなグローバル経済の流れ、と読めば、アベノミクスには水を差すことになる。

但し、今や、日米金融当局の「量的緩和競争」の様相が強まり、相対的に多くの通貨を供給した国の通貨が安くなる、という状況だ。
そこで、FRB内でウイリアムズ氏のような「ハト派からタカ派への転向」傾向が強まれば、円のほうが売られることになる。
FRBが緩和からの出口を模索する中で、黒田日銀が「FRBを上回る量的緩和実行」を市場に強く印象づけることが出来れば、円安となるわけだ。

「有事の円買い」については、今回、火種が近隣の北朝鮮で、日本にも火の粉がふりかかる可能性が強いだけに、インパクトが薄い。
北朝鮮要因で市場が本格的に避難通貨を模索するような状況になれば、選択される通貨はドルであり円にはならないと思う。

総じて、3日のニューヨーク市場のトリプル安は、黒田日銀のいっそうの「大胆」な「異次元」緩和を催促するグローバルな「追い風」となりそうだ。

なお、金プラチナ価格が1550ドル台、1530ドル台とそれぞれ急落している。
ドル高、株高でマネーが金プラチナから流出状態だ。
1500ドル前後まで下値模索が考えられるが、そこは中国・インドの買いで支えられよう。円高で円建て金価格が下がれば、買いの局面だと思う。

バーナンキ氏の任期が切れる2014年1月まではFRBの緩和姿勢に変わりはない。

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